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事例No.0685
1.取組の背景
当法人が「介護DX」や「働きやすい職場環境の構築」といった取組を行うようになった背景には、介護業界全体が抱える次の①から④のような構造的な問題や社会的な変化が深く関係している。
①深刻な人手不足と高齢化の進行 ②介護職員の離職率の高さ ③アナログ業務の多さ ④感染症対応など柔軟な対応力が求められる時代になった 等
このような変化の原因や課題は、①DX導入における職員のITリテラシーの差 ②導入コストと費用対効果 ③「人間のケア」と「テクノロジー」のバランス ④働きやすさ=多様な働き方の整備、等であると考える。
「人」と「テクノロジー」の共存をどう実現するか、そして持続可能な介護現場をどう築くかが、法人にとって今後の重要なテーマとなっている。
2.取組の内容
〇キャリアパスの導入
キャリアパス階層を6ステップに設定した。保有資格や経験年数の他、年に2回の面談を通して法人として求めること、本人の出来ていることや出来ていないことを明確にしている。キャリアパスのステップと給与表はリンクさせ、職員の能力と給与を見える化している。
〇オンライン研修の導入
特にコロナ禍以降、外部の研修へ行くことが難しくなり、その後も人員に余裕がなく難しい状況が続いていた。そのような時、法定研修も含め受講体制を整えるにはどうすべきかを検討し、令和6年度よりオンライン研修を導入し、理事長以下全事業所の職員が受講することも決めた。
〇新人の育成・定着支援
新人育成にも注力しており、未経験で入職の場合には2か月目までコーチと同じ勤務を組み、最初の1週間は日勤のみ、2週目から早番遅番に集中的に慣れてもらう。3か月目に夜勤を始め、徐々に勤務毎のコーチを外していき、4か月目には夜勤以外はコーチをつけずに勤務が出来るようになり、5か月目で夜勤もコーチなしで出来るようになった。コーチをつけている期間は、「研修ノート」をつけてもらい、自己評価とコーチの評価、質問等を記入し、その時々で何が出来るようになったか、何が不安かを見える化し、オンタイムで解決するようにした。また、入職から1週目、1か月、3か月、半年、1年の時点で面談を行い、不安な点がないか、人間関係等についての情報交換を行なった。このような期間を経て、未経験で入職し半年で正規職員に登用し、3年目での介護福祉士取得に向けて経験を積んでいる。
資格取得助成制度を設けており、実務者研修取得は勤務として受講、費用は法人負担である。喀痰吸引も実務者研修同様の補助を行なっている。
〇ICTの活用
令和元年に介護記録システムを導入することで、手書きの記録を大幅に削減することとした。その後、令和3年度からノーリフティングケア委員会を立ち上げ、指導者の育成、ノーリフティングケアの推進に向けて取組を進めた。令和6年度には、県介護テクノロジー導入支援補助金を活用して床走行式リフトを導入した。また、同補助金を活用し、Wi-Fiネットワークの整備、スマートホン端末の導入、インカムの使用を実現した。令和4年度からはビジネスチャットをBCP活用のため導入し、現在ではトーク機能だけでなく掲示板機能も活用している。会議議事録や利用者情報の共有に使用している。
特に効果的だったのは議事録へのAIの活用である。今までは議事録を作成するために手元でメモを取り、パソコンで入力していた。現在は、会議をスマートホン端末で録音し、録音したデータからAIで議事録を作成している。飛躍的に省力化でき、これまで会議終了から1週間以上もかかっていた議事録が、当日にできるようになった。
3.取組の効果(改善点)
〇キャリアパス導入により、自分の目標や行動、出来ることと出来ていないことが明確になり、やりがいや役割を認識して自ら行動できるようになってきた。
〇オンライン研修を導入したことにより、各自が資質の向上に取り組むようになった。これまで研修を受けることが難しかった職員も、知識を深めることが出来るようになった。オンライン研修の導入後は、研修実施率100%になった。現在2年目だが、毎月全職種必須の研修と職種毎の研修を受講してもらい、職員各々が学びを継続できるよう取り組んでいる。
〇新人育成においては、コーチによる育成支援をベースに、不安なことは相談員やリーダー、ナースとも情報共有しながら進めた結果、現在ではほぼすべてのことが1人で出来るようになり、安心して任せることが出来ている。
〇介護記録システムの導入は手書きの記録を大幅に削減し、紙の節約にも貢献することとなった。床走行リフトについては、腰痛予防はもちろん、利用者の安心につながっている。インカムやビジネスチャットの活用は、BCP策定、建物の構造や利用者の状態により必要に迫られての導入だったが、今となっては無かった時が想像できないほど、職員にとって不可欠のツールとなっている。