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看護小規模多機能型居宅介護事業所 医療法人 中国・四国

事例No.0680

1.取組の背景

 当事業所は、介護医療院・老人保健施設に併設され、4拠点20の介護事業所を付帯事業として展開している。介護報酬改定に合わせて職員処遇加算の取得を目指した。「職場環境等要件の見直し案」の全項目を実施することで、介護の質を向上させることを目標にした。とりわけ「生産性向上のための業務の改善の取組み」を重要と考えた。役職者研修での介護労働安定センター(介護分野の生産性向上)や厚労省(生産性向上ガイドライン)の資料を共有するなど、全職員のモチベーションアップを試みた。しかし、各人の温度差があり、足並みをそろえることが難しいと感じていた。

そのような中で当看多機事業所については、職員が専門的に取り組む手法を学び、自信がつけば対応できると考えられた。そこで、以前から実践しているメンター制度を活用しつつ、生産性向上のためのリーダー的存在を育成することとした。

 

2.取組の内容

令和6年度に、モデル事業所として生産性向上に向けた取組を開始した。小さな改善活動を積み重ねる中で、職員同士の理解を深めることができた。この成果を踏まえ、令和7年度は伴走支援を受けながら、より具体的で継続的な改善活動に取り組んだ。
まず、令和6年度に見えてきた課題を整理した。その上で令和7年度は、伴走支援を受けながら、課題の解決に向けた実践を現場に即した形で行なっていくよう工夫した。特に、従来のやり方に固執せず「小さく試す」「すぐ実感できる」を心がけたことで、職員に前向きな意見が増え、徐々に事業所の強みへと繋がっていった。また、活動を進める中で、「継続的に改善を回す仕組みづくり」「改善を担う人材の育成」が課題であることがわかった。さらに定期的な振り返りや成果の共有を習慣化し、事業所全体で取り組む体制を整えている。
本年度は、法人全事業所で、モデル事業で培った手法や経験を活かし、計画的かつ効果的に改善活動を進めている。令和6年度の「伴走支援のモデル事業」に携わった職員、主に上長が中心となり、拠点生産性向上委員会を設置・開催し、年間計画を策定して2か月ごとに進捗確認や修正・改善を行なっている。各事業所では、専用ツール「生産性向上くん」を活用している。拠点の委員会には各事業所の課題や工夫を持ち寄り、成功事例を共有することで横展開を図る場となっている。これらの取組により、法人全体で継続的に改善を進める仕組みが形成されつつある。
また、「生産性向上くん」の利用だけでは課題が十分に抽出されない拠点に対しては、状況に応じてアンケートを作成し、職員との対話を重ねることで優先順位をつけている。こうして抽出された課題は委員会で共有され、年間計画に反映させたうえで実行・検証するサイクルを回すことにより、法人全体で持続可能な改善体制を構築している。

令和2年度より毎年、「メンター制度等導入支援事業(個別支援)」を4~8事業所で構成する拠点単位で実施した。当初は対象となる新入職者が少なかったため、中堅職員を次期リーダーとして育成する手段の一つと考えた。当法人の『人事考課・指導職役割行動基準』に「メンターとして部署職員のキャリアを支援している」と掲げていたが、職員にあまりに認知されていなかったからである。また、介護職員等処遇改善加算に「メンター制度等導入」があり、職員報酬アップによって介護人員を獲得したいと考えていた。
令和7年度まで個別支援を継続してもらい、支援を受けた職員は法人全体で90名となった。組織内での連携も取れるような間柄になっている。メンターとしての役割や方法等がイメージできるようになり、支援事業に関与していない職員も関心を持っている。
この度、支援を受けた内容に基づき、「コミュニケーションをとる・相談が出来る」というテーマを主体にマニュアルを作成した。新入職者教育体制として、「新入職者指導プログラム(事業所長管轄)」と「メンタリングマニュアル(拠点長管轄)」に役割を分散し、業務中の「メンタリング会議」を定着させた。具体的には、新人への技術的な指導と同時にメンタル面の支援についても6カ月間対応することとした。初回は関係者へのオリエンテーションを行い、中間にはメンタリングチェックリストを確認して助言を実施、最終的に振り返りを行い活動結果を共有する手順を文章化している。
当事業所は研修拠点として、新入職者7名の他、メンター・サポーター・管理者が、3年目の「メンター制度等導入支援事業」の個別支援を受けている。

3.取組の効果(改善点)

当事業所では、介護労働安定センターの「メンター制度」を活用して3年間にわたり指導を受け、職員とのコミュニケーションを図ってきた。また、この1年間は「生産性向上伴走支援」にも取り組んできた。これにより、上長主体の年間計画の策定、現場改善の進捗管理が体系化された。また、職員の負担を抑えつつ改善活動に参加できる体制が整った。併せて、職員の経験や成功事例を委員会で共有し、改善の効果をより具体的かつ実践的に確認できる仕組みを確立した。
その結果、月平均残業時間は20時間から12時間に削減され、離職率は5%から0%に改善した。特別報酬(ボーナス)は従来比10%増、有給取得率は65%から80%へ向上し、職員の働きやすさやモチベーション向上にもつながっている。また、入浴介助や情報共有・記録業務の効率化、リスク対応の強化など、介護業務改善も着実に実施できた。腰痛予防に関しては、衛生委員会で研修やアンケートを実施して集計結果を産業医と共有することで、職員の健康管理や安全な業務遂行にも取り組んでいる。
業務改善に向けての話し合い等、長期にわたるメンター研修を通じてリーダー人材の育成を試みたことが、よりベターな状況を作っていくことに繋がった。

 

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