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特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設) 社会福祉法人 近畿

事例No.0678

1.取組の背景

 平成20年代後半にかけ、職員の採用が少しずつ減少し始めた。同時期に離職も多くなり、離職者から意見聴取することで働きやすい職場環境を構築することが急務であると考えた。

まずは、アセスメントを行い要因分析を行った。すると、介護職の業務が多岐にわたり業務多忙がストレスとなり、離職している職員が多いことが判明した。これらの不満を解消していかなければ、さらに退職者が増えることを懸念した。
解消の方法として、ICT導入についても検討したが、介護の仕事の根幹はやはり「人」であると強く認識し、機器導入より働きやすい職場環境づくりに優先的に取り組むこととした。その後、体制が整ってからICTを段階的に導入し、職員の力を最大限に引き出すことのできるツールとして活用している。

 

2.取組の内容

①障がい者が働きやすい環境づくり
・介護アシスタント制を創出
障がい者を積極的に雇用する取組を始めるにあたり、当初は介護職としての採用を計画した。支援体制として、障がい者職業生活相談員を配置し、さらに現場で指導する支援担当者を配置した。また、介護職を育成するシステムとして、新人教育プロジェクトチームのノウハウがあるからスムーズに職場定着が実施できるものと高を括っていた。
しかし簡単にはうまくいかず、障がい者に対する理解が不足していることがわかった。そこで、障がい者についての理解を深めるため、精神・発達障害者しごとサポーター養成講座を役職者に受講させた。役職者は自分の部署で丁寧に職員への伝達研修を行い、少しずつ障がい者に対する理解が深まっていった。
その後、介護職の業務を身体介護業務と生活援助業務に分掌化し、「アシスタント」職種を新たに創出して育成を始めた。アシスタント業務は介護業務のように内容が多岐にわたらず明確であるため、実施する内容を時系列で可視化することにより、スムーズに業務に取り組めるようになった。

・職務環境づくり
視覚障害者のパソコン操作を容易にするため、タイピング時に入力した内容などを読み上げる「音声読み上げアプリ」を導入するなど、環境整備に努めている。また、障がい特性に応じ、時系列の手順書を部署内に掲示し、本人だけでなく同僚も業務内容を把握できるように配慮している。さらに、視覚障害者への通勤支援として、送迎担当者2名を選任して輪番制による制度とした。

②障がい者のキャリア形成支援
障がい者一人一人に対して、ステップアップシート(法人独自様式)を作成し、1ヶ月毎の目標を設定して業務に取り組んでもらっている。また、月末に本人、施設内の支援担当者、ジョブコーチ、人事担当者等でステップアップシートについてのモニタリングを行っている。
障がい者個人により異なるが、概ね1年以内でモニタリングが終了できるように、進捗状況を把握しながら翌月のステップアップシートを決定している。ステップアップシートには自己評価を5段階でチェックする項目があり、これは個人により内容を変え、個々の特性に合った内容のものとしている。
また、希望があれば「業務振り返りシート」と題し、日報を書いてもらっている者もいる。日報と言えど、難しい内容を記載することはなく、当日行った業務に対することや、本人の気持ちを自由に書くものであり、指導者とやりとりができる交換日記のようなイメージである。
両シートを活用することで、できることが増えていくことを実感してもらえ、キャリア形成に繋がっていると感じている。

③関係機関と連携した人材育成と職員の採用
・介護労働安定センターとの連携
 働きがいのある職場づくりを推進するため、職員のキャリアアップについては、介護労働安定センターが実施するセミナーや講習会に積極的に参加し、役職に応じたスキルアップと知識の向上に努めている。都市部からは遠方にあるため、eラーニングを活用するとともに専門家によるコンサルタント相談においてもZoomによるオンライン研修を開催している。
令和7年度の研修計画についても、介護労働安定センターのインストラクターと相談を重ね、人材育成に関し「階層別研修」や「真・報連相」、さらに「接遇」に関するケアサポート講習等を実施し、それらが職員の能力向上に繋がっている。

・ハローワークとの連携
人材の確保については、ハローワークに求人票を提出している。障がい者の採用については、専用求人を提出し、応募希望者の紹介を受けている。

 

3.取組の効果(改善点)

当法人の障がい者雇用率は5.58%であり、法定雇用率の2倍以上である。取組前は3名であったが、現在では7名となり、貴重な戦力となっている。障がい者のアシスタント雇用者が増えたことにより、介護現場の人員に余裕が生まれた。有給休暇が取得しやすい状況となり、有給取得率が53.7%から73.5%まで向上した。時間外勤務は、月平均12.5時間から4時間に減少した。法人全体が働きやすい職場環境となり、ユースエール認定継続にも大きく影響している。この状態が継続できればワークライフバランスを保つことができ、離職防止に繋がるとともに定着率を向上させることができる。

 

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