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介護老人保健施設 社会福祉法人 北陸甲信越・東海

事例No.0676

1.取組の背景

 1988年の有床診療所開設以来、「Yes, we can. 何でもいってください。私たちも一緒にがんばります。」を合言葉に、訪問診療や在宅ケアに早くから取り組んできた。現在、30事業所を展開し、約540名が働いている。病院や施設から在宅へ戻る方々を支える中で、地域との繋がりの重要性を痛感し、「自立支援」「リハビリテーション」「生涯現役」を地域ぐるみで推進している。2018年からは「三方良し」を経営方針に掲げ、職員・利用者・地域の三者にとって良いまちづくりに貢献するため、組織改善を目指した。外部環境に左右されない組織、ライフステージや環境の変化に応じて柔軟に変えられる組織(サッカー型組織と呼称)、ひとり一人が自分らしく力を発揮出来る様な場を作り役割や働き方の違いを認め合いながら力を高められる組織を目指し、改善に取り組むこととした。 

2.取組の内容

【地域ぐるみの子育て支援と世代間交流】
介護施設を拠点に、子どもから高齢者までが社会参加できる子育て支援事業を展開。高齢者が子育てをサポートすることで、親世代は負担軽減や就労機会を得て、高齢者は生きがいや健康づくり、子どもは社会性を育めるという三世代良しの関係が生まれた。
【託児サービス利用料のポイント制】
2010年に託児所を開設し、当初は廉価で一律料金としたが、非常勤中心の偏りが生じ、常勤スタッフに負担が集中したため、2014年から「託児サービス利用料のポイント制」(勤務形態や資格、シフト貢献度をポイント化し、点数に応じて利用料を減免する仕組み)を導入した。常勤介護福祉士は無償で利用でき、非常勤でも貢献度次第で自己負担が軽減されるこの制度により、子育て世代は土日勤務に協力的となり、チームワークの改善にも繋がった。
【若手スタッフへのキャリア支援】
若い世代が将来を見通し、前向きにキャリア形成できるよう「ライフデザインセミナー」を実施。結婚・妊娠・親の介護・年金などライフイベントを学ぶことで、思いやりや助け合いを育み、職場風土の改革につなげている。また、独身スタッフを対象に、地域企業と連携した「出会いの場イベント交流会」も実施。将来への不安を和らげることで生活の質を高め、それが仕事やキャリアへの意欲につながるように工夫している。
【外部からの評価】
県ワーク・ライフ・バランス推進エクセレント企業認定(2012年~現在)
内閣府 内閣総理大臣表彰(子ども若者育成・子育て支援功労者表彰)(2013年)

当法人では、2018年より「“スマートエイジング”ワーク」を合い言葉に、高齢スタッフが、単に就労を目的とするだけでなく、働きながら社会参加することによる社会貢献、心と身体の健康増進、安全衛生意識の強化、生きがいづくりの側面を重視しながら、その働き方を全面的に支援している。
【介護助手の雇用】
2017年度より、中高年齢者を対象とした「介護助手」の雇用を開始。現場スタッフと業務を整理し、専門性を要しない周辺業務を切り出して任せる仕組みを構築。初年度の「介護助手お仕事体験・相談会」には定員を超える15名の応募があり、4名を雇用した。
この取り組みを通じて、高年齢者の就労意欲や価値観は若年層と大きく異なることを実感した。動機には「社会への恩返し」「役に立ちたい」といった貢献意識、「元気でいきいき生活したい」という健康増進、さらに「介護現場を知りたい」「今後の生き方の参考に」といった学びへの意欲が多く見られた。介護助手は働きがいと生きがいを両立できる仕組みである。
【スーパーバイザー制度】
管理・指導能力に優れた高齢人材を「スーパーバイザー」に任命し、業務改善や若手リーダーの指導・教育・相談に活用。管理職とは異なる立場で信頼され、本人のモチベーション向上にも繋がっている。
【高齢スタッフへの健康増進支援】
高齢スタッフの健康保持増進のため、健康相談員の配置、医療費・介護費補助、メンタル・ハラスメント相談窓口、健康相談、無料健診と指導、予防接種、フィットネスクラブ費用助成など、多岐にわたる支援を実施。
【外部からの評価】
厚生労働省 厚生労働大臣表彰 優秀賞(高年齢者活躍企業コンテスト)(2023年)

2001年のエルダー制度導入以降、ISO9001認証取得、人事考課制度、クレド策定による理念浸透、キャリアパス導入による育成のロードマップの「見える化」など、継続的して人材育成と組織強化に努めた。2016年度からは、経営理念、中長期計画、年度方針、数値目標、組織図、キャリアパス、ルール、年間スケジュールを網羅した「法人教育の教科書」を配布・共有。
【多様な資格取得支援制度】
スタッフのスキルアップとキャリア形成を強力に支援するため、法人独自の奨学金制度、e-ラーニングでの介護職員実務者研修、介護福祉士、ケアマネジャーの受験対策講座、外国人介護人材向けスキルアップ研修、技能評価認定を実施。
スタッフの身体的・精神的な負担軽減と、提供するケアの質向上を同時に実現するため、先進的な機器を積極的に導入。
○AI搭載の自立支援型介護見守りロボット~利用者情報一元管理システム:
・赤外線IRセンサーと生体センサーによる24時間365日の見守り。
・AIによる行動パターン分析で夜間巡視の負担を軽減し、事故再発を防止。
・見守りシステムと連動し、利用者の状況をリアルタイムで把握し、データを一元管理。
○その他の機器導入:
・睡眠データ活用によるケア改善のための睡眠・健康状態見守りシステム。
・体力負担を軽減する体位変換機能付きエアマット。
・従来2人介助が必要だった移乗を高齢職員1人でも可能にする床走行移乗リフト。
・介助負担軽減と利用者満足度向上に繋がるシャワー入浴装置、特殊浴槽ストレッチャー。
【外部からの評価】
県介護人材養成事業者認定制度 グレード1認定(2017年~現在)
厚生労働省 厚生労働大臣表彰 奨励賞(介護職員の働きやすい職場づくり大臣表彰)(2024年) 

3.取組の効果(改善点)

高年齢者にとって分かりやすいルールやマニュアルの作成:職場の整理整頓を推進した結果、業務手順の間違いが減少し、サービスの質が向上し、すべてのスタッフにとって働きやすい環境が実現。「介護助手」の増加は、介護職員の間で「介護」の次のキャリアとして前向きに認知され、高齢になっても長く働ける安心感につながっている。
2024年導入の自立支援型介護見守りロボット「A.I. Viewlife」は、IRセンサーと生体センサー、AIを搭載し、転倒防止のための見守りを通じてスタッフの心身負担軽減に貢献している。2015年導入の「眠りスキャン」は、非装着型センサーで睡眠状況をモニターしてケアプランに反映させることで、ケアの質向上と看取り介護への不安軽減につながっている。
◎これら取組みの効果を表す具体的な数値
・介護助手数の増加: 0名(2019年度) →7名(2024年度)
・離職率の低下 11.1%(2019年度)→ 6.1%(2024年度)
・有給休暇(年間)取得率の向上: 22.2%(2019年度) → 92.7%(2024年度)
・平均超過勤務時間(1人当たり)の削減:11.8時間/月(2019年度) → 1.9時間/月(2024年度)

 

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