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特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設) 社会福祉法人 北海道・東北

事例No.0671

1.取組の背景 

当施設は「人財創生と地域の未来創り」をミッションとして、令和5年度~7年度を「人財創生×DX×組織変革」の3年間と位置づけた。採用・定着率を維持し、職員のモチベーション向上を図るため、計画的な組織変革を推進する必要があった。
具体的には、以下のことに取り組む必要性が生じていた
1.DXの推進: ICTを活用し、業務効率化と生産性向上を図ること。職員アンケートを通じて課題を可視化して解決に取り組むこと。
2.組織体制と人財制度の変革: サブリーダーのポスト新設によってキャリア機会を創出すること。次世代リーダー育成のための「人財養成塾」の再構築、新人育成計画と評価制度の見直し、専門職分類によるキャリアパス制度再設計を実施すること。
3.両立支援と働きやすい職場づくり: 企業主導型保育園の活用(職員利用無償化)、育児休業取得促進、時短勤務、時間単位年休の導入により、働きやすい環境を整備すること。

 

2.取組の内容

1.DXを推進し、業務効率化と生産性の向上
・全職員の働きがい向上とサービスの質的向上を目指し、業務効率化と生産性向上に直結するDX(デジタルトランスフォーメーション)を強力に推進した。
(1)改善活動の本格的な始動と推進体制
・令和5年度「プラットフォーム伴走支援事業」を活用し、DX推進のための専門プロジェクトチームを本格的に始動させた。経営層(トップ層)も積極的に関与し、キックオフ宣言も行なった。有意義な取り組みであることを法人全体に周知し、現場任せにしない組織的な推進体制を確立した。
(2)現場の課題の「見える化」とテーマ設定
・DX推進の第一歩として、全職員に対し「現状把握」「業務について」「ICT活用調査」といった複数のアンケートを実施し、現場の課題を詳細に可視化した。調査の結果、「情報共有の基準がバラバラ(74%)」「常に業務に追われている(62%)」「介護記録システムに不満(41%)」といった具体的な課題が判明した。このデータに基づき、職員との対話を通じて、最優先で取り組むべき業務改善テーマを決定した。
(3)実行計画の立案と情報共有の標準化
課題が集中していた情報共有の負荷軽減を目指し、次の①から③の実行計画を立案・実施した。
①運用ルールシートの作成: 記録システム利用の具体的な運用ルールを作成し、要連絡事項(情報共有)のレベルを整理・基準化。
②対話を通じた現場実態の反映: 作成したルール案を職員と共有し、現場の実態に合わせてルールシートを修正。
③検索システムの作成: 運用ルールの検索システムを作成し、誰もがすぐに確認できる環境を整備。

2. 組織体制、人財育成・評価制度の変革
(1)組織体制の強化とキャリア機会の創出
 役職ポストが限られる現状に対し、中堅職員の意欲向上とキャリア形成を支援するため、新たな中間管理職として「サブリーダー」を設定。組織の中核としての意識とやりがいを持ってもらうとともに、管理職への登用を視野に入れたキャリアアップの機会を確保。
(2)次世代リーダーを計画的に育成する「人財養成塾」
 将来の法人運営を担う次世代リーダーや幹部候補を計画的に育成するため、選抜型の研修プログラム「人財養成塾」を再構築。新任役職者や推薦者などを対象として受講者を公募。役職者に必要なスキルをテーマとして、1年間に渡り計画的な養成研修を実施。
(3)新規採用職員の育成計画の強化と一貫指導体制の整備
 新規採用職員の早期戦力化と定着率向上を目指すとともに、育成が現場任せになることを防ぐため、組織全体で一貫性を持った指導体制を次の①から③のように整備。
①面談制度の強化: 配属後1年間は新人に対して一人ずつ担当者を配置し、技術指導から精神的な悩みにまで対応する制度を設け、面談を定期的に実施。
②評価の明確化: 段階的に評価する方式に変更。
③技術の修得: 研修や現場実践で修得した介護技術を披露する「新人王決定戦」の内容の見直し。
(4)キャリアパス制度の再設計と人事考課制度の変革
 具体的なキャリアアップの道筋を示す「キャリアパス制度」について、コンサルタントのアドバイスを受けながら、次の①から②のように能力等級制度を現状に即した形に再設計。
①対象者の拡大: キャリアパス受講対象者をエントリー・上長推薦制度で公募し、挑戦の機会を確保。
②評価基準の専門化: 評価基準を従来の介護職ベースから専門職に分類し、現場での評価と昇格のためのテスト内容を修正することで、評価の公平性と専門性向上を図った。

3.仕事と家庭の両立支援、働きやすい職場づくり
 職員がライフイベントとキャリアを両立し、能力を最大限に発揮できる職場環境の実現を目指し、支援策を推進。
(1)企業主導型保育園の活用による子育て支援
 育児による離職防止と職場復帰の強力なサポートとして、次の①から③について工夫した企業主導型保育園を活用。
①柔軟な受け入れ体制: 職員の多様な働き方に応じ、土曜や祝日勤務にも対応できる受け入れ体制を構築。
②利便性と安心: 職場近くに保育園を設置することで、送り迎えの負担や通勤ストレスを解消し、子どもの急な体調不良時にも迅速な対応を可能とした。
③経済的支援: 職員が園を利用する場合は無償とし、経済的な負担を実質ゼロにすることで、安心して子育てと仕事の両立ができる環境を整備。
(2)休暇制度の充実と柔軟な働き方
 職員が安心して家庭の事情に対応できるよう、次の①から③のように休暇制度の充実と利用促進を図った。
①育児休業の促進: 育児休業制度の周知徹底を図り、ためらいなく取得できる風土を醸成。特に、男性の育児休業取得を積極的に促進。
②柔軟な勤務制度: 育児や介護と仕事を両立しやすくするため、時短勤務制度を柔軟に運用。
③時間単位年休の導入: 時間単位での有給休暇を導入し、短時間の私用や体調不良での早退・遅刻にも柔軟に対応できる仕組みを整備し、働きやすさに直結させた。
(3)風土づくりと職場改善
 制度を実効性のあるものとするため、働きやすい職場づくり委員会を設置。職員の意見を吸い上げながら継続的な職場改善と意識改革に取り組み、制度を活用しやすい心理的安全性の高い職場風土の実現を目指し、組織全体で両立支援を支える体制を確立。 

3.取組の効果(改善点)

1. DXの推進による業務効率化と生産性の向上
・KPI測定の結果、業務時間は対面での情報共有と比較して7%改善。情報共有の満足度は、同職種間で20%、他職種間で10%向上し、基準の明確化に関する満足度は30%と大幅に改善。そして「今何をすべきか迷う」が19%、「しなくても良いことをやっている」が11%改善するなど、職務に対する混乱も解消され、情報共有の質向上と実質的な生産性向上を達成。
2. 組織体制、人財育成・評価制度の変革
・新たな中間管理職であるサブリーダーには、令和6年度までに9名を任命。次世代リーダー育成の「人財養成塾」は、令和6年度に8名が修了、令和7年度は6名が受講中。また、キャリアパス制度を本格運用した結果、13名が挑戦し、うち6名がキャリアアップを実現(サブリーダーからリーダーへの昇進含む)。新規職員向けには全職種の評価リストを構築し、毎月1回の定期面談を実施して計画的な育成を強化。
3.仕事と家庭の両立支援、働きやすい職場づくり
・企業主導型保育園利用職員、令和5年度8名、令和6年度8名
・男性の育児休暇取得者、令和5年度2名、令和6年度2名。
・時短勤務制度利用職員、令和5年度6名、令和6年度8名。
・令和5年度に「働きやすい職場づくり委員会」を設置(2か月に1回開催)。アンケートに基づき「1時間単位の有休取得制度」を実現。

 

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