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事例No.0670
1.取組の背景
法人にとって「ハラスメントの防止と対策」が「働きやすい、働きがいのある職場づくり」を実現するために不可欠と考え、令和3年にハラスメント防止体制を構築した。後にハラスメント発生時のフローチャートを作成し、職員に対して周知を完了した。しかし、実際はその運用にあたり相談窓口担当者の研修が実施されていなかったため、適切な窓口対応ができず、ハラスメント防止体制は機能していなかった。
相談窓口担当者は基本的に事務長等管理職で、法人全体で10名程度任命されていた。しかし、ハラスメントの定義やその対応において、共通した認識を持ち合わせていなかった。
そこで、まずこの体制の適切な運用を図るため、相談窓口担当者に対する研修が必要であると考え、介護労働安定センターのケアサポート講習の研修を活用することとなった。
2.取組の内容
先ず、職員からハラスメントの申し出を受ける相談窓口担当者が適切に対応できるよう、対象者の集合研修を実施した。令和3年度はコロナ禍の真っ最中であり、多くの人員が集まる集合研修の開催が困難であったため、2回に分けて実施した。県内35の事業所を南北に分け、それぞれに拠点となる会場を設けて集合研修を実施した。
また、管理監督者、リーダーについては、リモート研修を行なった。コロナ禍ではあったが5回の階層別研修を実施し、多くの職員のハラスメントに対する意識改革ができた。
令和3年以降、事業所間での温度差をなくすため、南北にそれぞれ設けた拠点を活用するとともに、階層により研修内容を工夫し、多くの参加者が職責に見合う研修を受講することができた。その結果、ハラスメントに対する正しい知識を多くの職員間で共有することができた。また、継続的に研修を実施することで、ハラスメントについてより深く理解されるようになった。
次に、ハラスメントの防止と対策を徹底していくため、専門的な指南ができる外部講師を招聘した。介護労働安定センターの委嘱する専門家の中で、ハラスメントの防止と対策においてスペシャリストである特定社会保険労務士・県社会保険労務士会常任理事に研修を依頼した。「笑顔でいっぱいの職場を目指して」をモットーとし、ハラスメントに関する職場環境の改善策のみならず、法的対応にも精通しているこの講師により、事例をもとにした具体的な研修、ロールプレイを活用した対応策等、実践にすぐに活かせる研修を行うことができた。その結果、職員の職場への定着につながっている。
令和3年の研修会におけるハラスメントの概念は、パワハラ・セクハラ・マタハラの3つのハラスメント防止と対策が主たるものであった。5年を経て、この3つのハラスメントの認知度は高まったが、事例としては減少傾向にある。代わってモラハラやカスハラが、新たなハラスメントとして認知されるようになった。
介護労働安定センターのケアサポート講習により、継続的にハラスメント研修が行われていたため、新たなハラスメントに対しても、職員の理解がとても速い。環境と対象者が違うだけで、その考え方や対策には共通しているところがあるからだと考えられる。
5年間に渡り計画的に研修を続けることで、「継続は力なり」のごとくハラスメントに関する職員の対応力の向上が図られている。また、職員が深い知識を持つことで、職員間でハラスメント防止に対する意識が高まり、職場内の環境が改善した。一貫したテーマの追及が、職員のハラスメントに対する理解をさらに深め、職場の環境改善につながっている。
3.取組の効果(改善点)
一貫して「ハラスメントの防止と対策」をテーマに研修を続け、本年度、全職員を対象にしたアンケート調査を実施し公表した結果が次のようになった。
■サンプリング数:職員全員対象 711人 回答数268人 回答率37.7%
■認知度(言葉・内容を認知) パワハラ 94% セクハラ 94% マタハラ 84% カスハラ 68%
■ハラスメントを受けたことがない:パワハラ 93% セクハラ 85% マタハラ 98% カスハラ 92%
■カスハラについての詳細なアンケートを実施
行為の内容
・身体的な攻撃があった 8%
・精神的な攻撃を受けた 17%
・継続的 執拗な言動 6%
・性的な言動 4%
行為者(56人中)
・利用者家族 27人
・保護者 4人
・利用者 9人
■防止の対策について
「職場全体で取り組むべき」が88%を占めた。
研修開始年度はアンケートを実施していないため比較はできないが、ハラスメントについての認知度は高く、実際に起きたハラスメントの事例数は少ない良好な環境である。
また、事業所全体で防止策を策定して実践しようとする姿勢は、ますます職員の職場への定着を進めることになる。