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事例No.0666
1.取組の背景
国並びに県が推進するノーリフティング・ケアとICTを活用した介護現場の生産性向上の実現に向けて、取り組みを始めた。
取り組みを始めた当時、職員21名中16名が腰痛を経験していた。そのような中で就任した施設長が、研修でノーリフティング・ケアについて学んだ。「これは是非現場職員のために取り組みたい」と、床走行式リフト1台を導入したのが始まりである。
これを機に、施設長が様々な研修やセミナーに足を運んだ。「介護のICT化」とは一体どうすれば良いのか、介護現場を再び活気ある場所にするにはどうしたら良いか、その解決の糸口を得るため、情報収集と学びに努めた。その結果、課題解決のためには介護ロボット・ICTの活用が必要不可欠と感じ、導入を検討するに致った。
2.取組の内容
取組①
県が主催する研修やその他県内外のICTセミナー、福祉機器の展示会、先進施設の視察などに施設長、介護リーダー、介護職員が参加する機会(令和5年度・延べ30名以上)を作り、施設内でも情報共有を重ねてきた。
介護職員が直接、福祉機器メーカーや介護記録ソフト会社などの社員さんと接する機会を作り、ICT導入を「自分事」として捉えられるようにした。
通常、一般介護職員が名刺を持つことはあまりないが、研修会や視察に参加する職員には名刺を作成するようにしている。初めて名刺を手にした職員は、とてもうれしそうで、緊張しながら名刺交換を経験している。
ICT導入など新しい取組みは、最初は介護職員にとって戸惑いが大きく、受け入れがたいもののようだった。しかしながら、説明や研修などの経験を積み重ねることで、段々と受け入れられるようになった。そして、実際に使い始めるとその便利さに気づくようだった。
【新たな課題】ICT導入は、Wi-Fiの整備と介護記録ソフトの選定が重要となる。
介護記録ソフトは、既に導入している。これから導入する見守り機器等と連携することで、更に生産性向上に繋がるものが選定できるかが課題である。ICT機器の進歩は目覚ましく、新たな機器の選定のためには、情報や知識の更新も必要と感じている。また、選定した機器によっては、Wi-Fi環境の見直しも必要になるかもしれない。
ICTは導入しただけでは役に立たず、それを使う「人」が重要になる。人がどんな心でICTを活用するのか、それが求められる時代になった。
取組②
令和2年、就任したての施設長が研修でノーリフティング・ケアについて学ぶ機会を得た。「是非、現場職員のために取り組みたい」と、床走行式リフト1台を導入したのが当施設のノーリフティング・ケアの始まりである。
その後、県内で開催されるノーリフティング・ケアの各種研修に施設長と介護主任、リーダーが参加した。ノーリフティング委員会を設立し、職員が腰痛になることなく、楽にケアを行い、ご利用者様も安心・安全な介護を受けて快適に暮らせることを目標に、実現に向けた計画の立案、実行、見直しを行っている。以後、リフト・リーダー養成研修は6名の職員が修了した。基本的介護技術も疎かにならないよう県の介護技術講師養成講座を3名の職員が受講し、介護技術講師としても活躍できるようにした。
新しい取組みを行う際、なかなか全員が同じ気持ちでスタートを切れるわけではなかった。
令和5年のある日、全体会議でノーリフティング・ケアの効果について挙手をしてもらったが、数名の職員から「良さを実感できない」との声があった。
そこで思いついた取り組みが「NoノーリフティングDay」である。抱える介護を思い出す日をつくり、職員一人一人に、職員とご利用者の安全を確保することを条件に、福祉用具を使わずに抱える介護を行ってもらった。結果、福祉用具の有難みを感じられる一日となった。ノーリフティング・ケアに賛同していなった職員も、慌ててリフト・リーダーから指導を受けるようになった。
【新たな課題】課題は、部分的に抱える介助が発生し、職員が身体の負担を感じる場面が残っていることである。ご利用者の状態に合わせた心地よい入浴、介助のしやすい入浴機器の選定が必要となっている。
3.取組の効果(改善点)
取組①
介護記録ソフトを導入してiPadで記録を入力できるようになり、記録のための残業は無くなった(手書のときは1人あたり30分程度の残業をすることがあった)。入力が更に楽に行えるよう、そして記録とケアの質が上げられるよう、音声入力システムも導入した。この導入計画はリーダーが立案し、現場職員への普及を推進している。任せることで、リーダーの自主性や主体性の強化に繋がっている。
取組②
令和3年の腰痛調査では、職員21名中16名が腰痛を抱えていた。令和6年の調査では、21名中10名となった。ノーリフティング・ケア導入後に新たに腰痛を発症した職員は0名である。
Noノーリフティング・ケアを実施したことで、現在、介助中に福祉用具(床走行リフト、スライディング・シート、スライディング・ボードなど)を使用しない職員は0名となった。すべての職員が福祉用具を活用した介護が行えるようになっている。