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特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設) 社会福祉法人 北海道・東北

事例No.0657

1.取組の背景

 法人内に研修委員会を、各事業所(特別養護老人ホーム3か所、ケアハウス1か所、デイサービスセンター1か所、障害者関連施設6か所)にも研修委員会を設置して取り組んできた。

 しかし、漫然と実施していたとの感覚であった。項目別(階層別等)研修も実施してきたが、新型コロナ流行期に途切れてしまった。法人としては今後、スキルUPの研鑽をしないと新しいノウハウの習得が難しく、最終的には利用者への介護の質の低下につながってしまうことを危惧した。

 課題は、中長期の明確な研修計画がなかったことである。そこで、法人として年間計画を立て、職員がきちんと参加できる集合研修等のあり方を示す必要があった。研修担当者を2名任命し、全体の研修計画を作成することとした。介護労働安定センターに相談し、集合研修計画を作成することになった。

2.取組の内容

 令和5年9月に介護労働安定センターより法人研修担当に面会し、令和6年度の法人研修内容に関して相談を受けた。令和6年3月には年間研修計画についての具体的な相談があり、参考までに年間研修計画の例を紹介した。法人全体として研修を実施することで事業所間格差をなくし、職員が同じ目線で研修を受けられるように改善した。各種コンサルも活用した集合研修を取り入れるなどの工夫をした。

 階層別(課長・係長、主任・副主任、一般)集合研修が手薄で人材育成の課題となっていた。外部講師を活用した継続性のある研修を実施しようとするも、どのように開催してよいか行き詰まっていた。

 そこでセンターとしてケアサポート研修・階層別集合研修の提案をし、法人研修担当者と研修内容の打合せの場を積み重ねた。リーダー研修、中堅者研修を立案し、講義とグループワークで内容を構成(年2回シリーズ)した。課題に対する実際の取組を検証できるよう、グループワークを含む対面集合研修を提案し、法人研修担当より同意を得た。また、全体研修の中に介護技術(移乗・移行)を組み入れて実施することを決定した。

令和6年度年間研修計画(新規実施分) 
課長・係長対象:リーダー研修「マネジメント力向上」(9月・2月)ケアサポート研修(対面)
主任・副主任対象:人事考課研修(5月)雇用コンサル(集団)
         中堅者研修「コミュニケーション力向上」(8月・1月)ケアサポート研修(対面)
一般対象:メンタルヘルス(6月・11月)メンタルヘルスコンサル(集団)
     腰痛予防(7月・12月)メンタルヘルスコンサル(集団)
     介護技術(8月)ケアサポート研修(実技)

 従来の研修では実施して終わってしまっていることが多かったため、本当に有意義な内容であったか否かが把握できていなかった。本来、受講者の目線に立って研修内容を組み立てなければならないが、そこまで手が回っていなかったことを踏まえ、今年度より研修後に受講者アンケートを実施した。

アンケート内容
・「この研修へ参加する前に学びたいと思ったことは何ですか?」
・「研修に参加して何を得ることができましたか?」(100文字以上)
・「研修で学んだことを事業所でどのように生かしたいと思いますか?」(100文字以上)
・「今回の研修を100点満点で採点すると何点ですか?」
・「点数を付けた理由」
・「今後受講したい研修テーマを教えてください」

 第1回目の中堅者研修は、現場の第一線で活躍すべきキーパーソンを対象として行なった。アンケート結果(回収率100%)からは、受講者が何を感じ、自らが習得すべきポイント、今後中堅者として実践していかなければならないこと等を把握できた。今後の人材育成にも活用していく材料となったし、職員が自ら学ぶ気持ちを持っていることもわかった。研修で大切な、受講する側のニーズを確認することができた。

 また、講師にも共有することで、研修の在り方にも変化が出てくると思われる。今後も継続して研修後アンケートを実施し、様々な場面を考慮しながら受講者自らが学ぶ環境を作っていく。

3.取組の効果(改善点)

 年間研修計画の作成により、職員が参加しやすい環境ができた。研修開始時間も極力業務に支障が出ない時間帯を選定することにより、参加人数も増加した。コロナ蔓延時には対面研修はほとんど実施されていなかったことから、外部講師による研修、グループワークの実施は新鮮味のある機会だった。普段顔を合わせることがあっても会話をする機会があまりないこともある。研修では新たな気づきも感じ、コミュニケーションも深まる機会となった。

 また、階層別研修という面では、事業所が異なっても立場的には同じことから、業務上の悩みや、課題に関して同じ目線で捉えることができ、有意義であった。

研修内容の体系化によって得られた成果や効果

研修参加率:令和5年度5%から令和6年度15%増
研修回数:令和5年度5%から令和6年度30%増

 

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