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グループホーム 特定非営利活動法人 北海道・東北

事例No.0656

1.取組の背景

  介護と一口に言っても、都会と地方、そして地方においては都市部と農村部においてその接し方・ケアの仕方には違いが出てくるはず。なぜなら、地域性による風俗・習慣・伝統・文化等には当然差異があり、そうした環境の中で全て一律の介護提供には無理を覚えるからである。

 当法人では、開設当初から共生型(高齢者・障がい者・子供)事業を行いつつ今日まで運営を続けている。共生型事業を行う理由は、人間が生活する上で年齢や障がい等で住む環境を分けることへの違和感と、共に助け会って暮らすことにより生じる双方への良い影響に関心があったことである。
 日々の介護では、生活の延長としての掃除・洗濯・配膳等に積極的に関わり、専用農園では農作業にも取り組んでいる。
 職員には、入社時のオリエンテーリングで法人の理念と行動理論を伝え、「お互い様の心で共に歩む」ことを大切にした運営を心がけている。

2.取組の内容

分け隔てない福祉の里作りの実践

・共生型の事業所を運営しながら、職員採用にあたっては無資格・未経験であっても想いがある方を積極的に採用し、資格取得支援を行ってきた。具体的には、初任者研修と実務者研修の受講を希望する職員に対しては、シフトの配慮に加え、日勤研修の扱いで参加してもらうとともに、トータルの研修費の半額を支援してきた。事業所は11年目を迎えているが、当初からこのような取組みを行ってきた。その結果、開所時には無資格・未経験で就業した職員が、現在では管理者や現場の責任者として、中心的な役割を担っている。
・当初、共生型グループホームという概念が行政にはなく、その説明と意義を伝えることに苦労した。県外の該当事例を取り寄せて長期にわたる交渉を行ない、ようやく実現することができた。
・高齢者と障がい者の共同生活は、刺激があり心身ともにその活性化に役立っている。しかし、時に障がい者通しの諍いがあり、事業所の雰囲気が損なわれることもあった。その際の対処に何度も苦労したが、年月を経るうちに自然に落ち着くケースもあり、これが人間の生活なのだなと妙に納得することもあった。

高齢者の積極的な採用に伴い、就業規則を大幅に改正

・開所当初より高齢者の方を積極的採用してきた。以前、定年を60歳から65歳に延長したが、今回の就業規則の大幅改正に伴いさらに70歳まで定年を延長した。また、多様な働き方への希望に応えるため、パート職員を希望する者には「短時間正職員」への転換等も推奨している。そのほか柔軟な対応を心がけることにより、職員の離職防止、仕事に対する意識の向上に繋がっている。
 これまで、就業規則の改正にあたっては法人内で精査し行なってきた。しかし、昨今の労働条件・環境等の変化に対応するためには、法人内部だけの検討では正確性に欠けるリスクがあるとの判断から、社会保険労務士と共同で作業を行なった。今後の対応を考えれば適切な判断だったと思われる。

姉妹法人の農福連携を活用した地域への積極的PRによる人材確保

・姉妹法人の一般社団法人では、有機野菜と特別栽培米を就労継続支援B型利用者の協力により栽培し、県内外に販売している。
 そのPRと地域との連携を深める狙いもあり、昨年の5月から11月の第2土曜日に、駐車場を利用して「マルシェ」を開催してきている。事業所からの出店に加え、一般市民の出店も6〜7店あり、次第に定着しつつある。野菜だけでなく、コーヒー・焼きそば・ケーキ等の販売、マッサージコーナーも併設している。
 また、一般社団法人で栽培した野菜や米を活用し、NPO法人が食堂を運営している。テイクアウトも含め多くの市民の方に利用されている。食堂の惣菜を利用し、春から秋にかけては地域の各種催事にも出店している。
 介護だけにとどまらない、広く地域との交流を目指した活動に興味を持って、就職を希望してくれるケースが毎年見受けられる。
 社会参画およびコミュニティ活動と捉えられ、認知もされてきているようである。

3.取組の効果(改善点)

分け隔てない福祉の里作りの実践


・無資格・未経験でも想いのある方を、職員として一から育てる事を主眼にしている。その効果かもしれないが、法人全体の年平均離職率は常に10%未満を継続している。昨年は6.2%であった。また、各種情報発信の効果により、県外からも2名の応募があり、継続就労している。

 

高齢者の積極的な採用に伴い、就業規則を大幅に改正


・就業規則を改正し、定年を65歳から70歳に延長した。これによって3名が正職員として雇用継続している。また、整備はしていたものの利用が少なかった短時間正職員への転換を希望者に推奨したところ、利用する職員が1名から3名に増加(パートからの転換)した。離職防止と仕事のやりがいにも通じているのではないかと思われる。業務量の見直しや効率化の推進により、一人当たり月平均の残業時間は減少した。以前は10時間近くであったものが、ここ数年は毎月5時間未満となっている。

 

姉妹法人の農福連携を活用した地域への積極的PRによる人材確保


・マルシェを2年前から開催しているが、最初0であった地域の参加者が現在では7名となった。さらにその方々の紹介により、傾聴や踊り等のボランティアも増加している。職員の仕事のやりがいにも通じているようである。

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