- ホーム
- 分野から事例を探す【施設】
- 事例一覧
- 事例No.0655
事例No.0655
1.取組の背景
現状に満足せず、さらなる向上心を持ってより良い施設になるためには、また、介護職員のやりがいや満足度に繋げるためには、今求められている能力と未来に必要な能力は何かを知るキャリアパスの導入や、幅広い年代の方々に介護業務に従事してもらうための労働環境の改善にICT導入が必要となった。
2.取組の内容
キャリアパスシステムの導入
平成26年度からキャリアパスシステムを導入し、介護職員のキャリアパス階層を全6ステップにより構成した。保有資格・経験年数・研修終了要件はもちろんのこと、法人が求める4つの能力基準(業務遂行能力・人間関係能力・マネジメント能力・教育・研究能力)を基準にしている。このステップを設けることで、今求められている能力と未来に必要な能力は何かを知ることができている。
また、ステップと給与等級をリンクさせることにより、自分の能力と給料、能力の価値が可視化されている。
研修制度の充実
約10年前より、『人材の質』=『ケアの質』と考え、オリジナルの研修体制を法人内の講師陣で展開している。介護職員のやりがいや満足感に繋がる目標管理、床走行型リフトやスライドボードなどを使用したトランスファー研修など、未経験の方でも分かりやすく、現場実践に通じる講義内容となっている。開催頻度は、2週間に1回(全46講義)を5ヶ月で受講することで、介護現場での悩みを解消しながら学べる環境を構築している。その他にも、自施設のキャリア階層における、ステップⅠ・ステップⅡの研修を年間4回開催する事で、学び・成長しながらキャリアビジョンを描くことが可能となっている。
ICTの導入
(1)リフトの導入
床走行型リフトやHug(前方支持型リフト)、スライドボードを活用することで、抱え上げる動作の70%を解消できている。リフト
を活用する事で介護労力負担軽減を図り、幅広い年代の方々に介護業務に従事してもらえるような労働環境の改善にも繫がって
いる。また、コロナ禍において非接触支援が可能となった事で感染リスクの軽減や移乗動作時の指導を統一することが可能とな
り、介護者の体格や経験に左右されていた支援内容の改善が図られている。
(2)見守りシステムの導入
全居室、ナースコールと連動。利用者がナースコールを押すと、各職員が持っているスマホに通知が来る。特に夜間帯などは人
手も不足しているので、ナースコールにより利用者へいったん連絡し、その後はその中でも優先度の高い利用者から対応をする
ことができるようになり、時間や心身の負担軽減に繋がっている。
EAPサービスの開始
EAP(従業員支援プログラム)を導入し、外部の専門家によるメンタル相談の日(月に1日)を設けている。毎回3~4人程度の職員が利用しており、職場における悩みに限らず、様々な相談を行える場として活用している。
医療費の助成制度
共済金を月1,000円支払うことで、医療費助成を受けることができる。
3親等以内の家族であれば、外来・入院にかかった費用は後日申請を出すことで、職員本人の口座に返戻が行われている。
3.取組の効果(改善点)
・キャリアパスシステムによって、未来の姿が明確になり、目標管理を行いながら自らの行動管理ができるようになってきて
いる。また、介護職員としてやりがいや役割を感じながら、主体的に行動できる職員が増えてきている。
・事業所の開設10年時点では、10年間勤務者は3人しかいなかったが、キャリアパスシステム導入後には10人の職員が10年以上勤
務している。またキャリアパスシステムの有益性を発信することで、新卒者の雇用にも繋がっている。
・主体性のある職場環境の実現は、人材を豊かにすると同時に、人が集まることで事業基盤の安定にも繋がっている。
・離職率の低下(R2年度 17.5%→R3年度14.3%→R4年度10.0%)