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特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設) 社会福祉法人 北海道・東北

事例No.0645

1.取組の背景

 法人として人材育成、職員のモチベーション向上などに積極的に取り組み、法人の一員としての職員の意識の向上を図る必要があった。また、職員の採用・定着において高い水準を維持するため、ICTの活用や、独自の人材育成プラン、仕事と家庭の両立支援制度等を構築し、働きやすく働きがいのある職場に向けた取組を計画的に進める必要があった。

2.取組の内容

【働きがい】

(1)評価・処遇制度、組織管理・業務管理の仕組み
  ・経営ビジョン及び組織目標とリンクさせた自己努力目標の設定、自己評価と人事考課のすり合わせ(年3回の面談)を行う
   ことで、経営への参画意識、納得度を高めている。

  ・5~6年を基本に定期人事異動を制度として実施。同じ職場で働くことから生じるマンネリ感や閉塞感からの解放、違う施
   設・職場での新たな発見が介護職としての成長を促している。

  ・役職ポストが限られる中、「リクルーター」「プリセプター」などのポジションを任命することで、中核職員としての意識
   とやりがいを持ってもらえるようにしている。

(2)独自の人材育成プラン
  ・新採用職員研修(隔週で6回)…学生と社会人との違いや自己分析、ビジョン作りなど。
  ・採用6年次職員研修(12回)…キャリアの棚卸やビジョン作り、部下を育てる技術など。
   *上司と部下から頼りにされ始める時期で戸惑いや悩みを感じる6年目の職員を対象に、初心に立ち帰って考えてもらい、
    新たな気付きやモチベーションアップに繋げる内容。

  ・職場研修 …プリセプターの配置、新採用職員の実践フォローなどを実施。
  ・法人全体研究発表会 …日常業務の中から取り上げた課題を1年かけて研究し、結果を発表。施設運営に採用される内容も
   あり、法人の一員としての意識向上にも結び付いている。

 

【働きやすさ】

(1)仕事と家庭の両立支援制度
  ・産前産後休暇中の基本給全額支給、育児休業復帰後における時短勤務の実施など。
  ・子育てや介護で離職しなければならない職員に同一条件で採用する安心の再雇用制度。
  ・全職員が“自分のために使う休暇”を年1日以上取得。自分の特別な日や趣味といった“自分のために使う休暇取得”を推進。
   職員におけるコミュニケーションネタにもなっている。

  ・キャリアイメージ形成の研修会開催など。
(2)効率的かつ迅速な介護サービス提供に向けたICTの活用
  ・「介護ネットワークプロジェクト」を立ち上げ、施設内Wi-Fi整備、離床センサーの導入、ネックスピーカーとiPhone端末を
   組み合わせたインカム導入などを推進。また、法人内に機器の活用をしっかり根付かせるため、PR活動・マニュアル作
             成・講習会実施などを展開、職員フォローを行っている。

3.取組の効果(改善点)

【定量的成果】

(1)介護職員の採用と離職の状況

  ・採用率 令和2年度:4.65% 令和3年度:6.20% 令和4年度:4.65%
  ・離職率 令和2年度:3.10% 令和3年度:6.20% 令和4年度:5.42%
   *コロナの影響か近年は離職率が上がっているがしっかり採用できている。
  また離職率の全国水準ははるかに高く、安定した雇用を継続している。
    (令和4年度の離職率 全国平均:14.4%、県平均:15.1%)

(2)年次有給休暇取得の状況(令和4年度実績)

  ・平均付与日数22.0日(最大付与24日)
    介護職 平均取得日数14.1日(取得率64.22%)
    看護職 平均取得日数17.2日(取得率87.86%)
    その他 平均取得日数14.6日(取得率68.34%)

(3)管理職の女性割合
  *5ヶ年計画で「令和7年度末までに管理職の女性割合を70%以上」という目標を掲げて取り組んでおり、令和4年度で6
              0.0%(25名中15名)となっている。

 

【定性的成果】

(1)職員主体となれる風通しの良い運営 

  職員提案から実現させたサービス・イベントの例
  ・家族との面会がもっと楽しくなるように、との職員の思いを発端に、前職でケーキ作りをしていた栄養士やお菓子作りが得
             意な職員によって、スイーツや飲み物を提供するカフェを週1でオープン。利用者、ご家族から大好評。  

  ・おでかけ支援
   お花見などの施設のイベントとは異なり、同じ希望をもつ少人数の利用者によるおでかけイベント。日々お世話している中
             で、「ずいぶんと墓参りに行ってないなあ」「天丼が食べたいなあ」と利用者から漏れる声に応えることは出来ないものか、
   と考えた職員による発案。個別の想いが叶って利用者の方は大満足。

 ・わんこと遊ぼう
   アニマルセラピー効果を提案する職員とジャパンケネルクラブの協力で実現。

 ・ぬくもりケア
   タクティールケア効果の研究発表での提案から現場実践に展開。

 

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