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グループホーム 有限会社 北海道・東北

事例No.0644

1.取組の背景

 平成16年6月にアパートを利用した宅老所から事業を開始し、現在では通所介護事業所、グループホームなど多くの地域密着型サービスを展開している。
「あなたの家のように」「家族のように暮らす」「心温まる」をコンセプトとし、地域社会に貢献できる事業所となるため、サービスの要である人材育成に力を注いできた。その結果、平成29年にワークライフバランス推進市長賞を受賞。それをきっかけとして、職員がより働きやすくなる取組について実践するようになり、県の介護事業のパイオニアとなるべく取り組みを推進している。

2.取組の内容

 法人の方針として働く人の多様性を重んじており、以下の取組を行い、介護人材の確保につなげている。

(1)外国人雇用

 介護職員の人材不足を補う策として外国人介護労働者の活用を考え、2018年、実際に現地調査としてベトナムに赴く。その際に日本での就労を望んでいる方々から直接話を聞き、介護人材として活用できるか調査をした。翌年、日本の介護の専門学校生であったベトナム人留学生1名と技能実習生3名を採用した。当初、日本の文化とその地域性を理解するのが難しい状況ではあったが、職場内では日本語を使うように徹底した。その後は継続して外国人を採用しており、現在は技能実習生3名をミャンマーから受け入れている。住まいは法人が借り上げ用意するなど環境面を整えている。実習生に対する相談窓口として担当者1名を配置し、3か月ごとの面談を実施している。日本語での説明では理解が難しいものや、翻訳が難しいものについては、翻訳アプリや写真を活用して説明するなど工夫している。

(2)障害者雇用

  2017年に専門学校から事務員の採用枠がないか問い合わせがあった。医療事務について学んだ方(障害者手帳保持者)で、法人内での事務の増員を検討していたこともあり採用することに決めた。現在6年目となり、在学中の資格取得を生かし、事務員兼生活相談員として継続勤務できている。また、障害者就労支援センターや支援学校の実習の受け入れなどを行い、介護事業所への採用に結びついている。採用した人材(知的障害者)は、高齢者とのコミュニケーション能力も高く、親しみやすい存在となっている。視覚支援学校であん摩・マッサージ師の資格を取得した全盲の職員も在籍しており、デイサービスの機能訓練指導員として活躍している。発達障害の方も採用している。長時間の勤務では集中力が持続しないため、短時間勤務者として配置することにより継続的雇用に結びつけている。

(3)資格取得支援

  2018年より実務者研修の実施機関として登録している。新卒(無資格)で採用した場合には、2年目から3年目にかけて受講して、翌年の介護福祉士国家資格試験を受験可能な体制としている。毎年、法人内の職員5名、法人外5名ほどが受講しており、座学での履修時間はすべて出勤扱いとしている。現場で働きながら、実務を覚えていくことが出来るようになっている。OJTの一環となっている。受講するための資金援助としては、社内貸付制度や社会福祉協議会の介護福祉士修学資金等貸付制度を利用することで対応している。

(4)ICT活用による業務効率化・負担軽減

 ICT導入を検討するにあたり、他県の施設を視察した。施設での運用状況や職員の負担軽減についてリサーチしたところ、ケアの時間にメリハリができ効率的なケアが出来ていることが分かり、2020年4月から見守りロボット(睡眠状態、バイタル、起き上がり)をグループホームの2ユニットで導入した。また、利用者の情報や特記事項などについて、LINE WORKSを活用して情報共有している。

 

3.取組の効果(改善点)

(1)外国人雇用の効果

 現地で日本の介護について基礎を学んでおり、接客業で使われるような丁寧な言葉遣いや、説明力が身についている。周囲の日本人介護従事者が自分たちの言葉遣いにあらためて気づくなど、職員の教育にもつながっている。また、外国人を指導する職員も、介護方法などについて理由も含めて説明できる能力が身につくようになったり、高齢者(利用者)にとっても親しみやすい存在になるなど、職場の雰囲気を明るくするなどの効果をもたらしている。
 外国人技能実習生を採用する前の介護職員の勤続年数の平均は4.7年であったが、現在は6.2年と延伸に結びついていることから、職員の定着にも効果が及んでいる。

(2)障害者雇用の効果

 

 労働局より令和5年障害者実雇用率が発表され、介護事業所として唯一、一般企業上位ランキング10位、障害者実雇用率9.79%(9位)であった。現在法人では、身体障害者3名、精神障害者3名、知的障害者1名の合計7名が勤務している状況で、積極的に障害者雇用を行なっている。
 また、職員が個々の(障害の)特性を理解して業務内容の説明をしていかなければならないこと、そして、話したいことをよく聞くことの必要性、できることは何かを考えることでチームケアに繋がっている。

(3)資格取得支援の効果

 

 介護職員の人材育成について仕組みを設けることで、介護福祉士の資格取得の支援に結びついている。受講した者は全員合格しており、10名が継続勤務している。

(4)ICT活用による業務効率化・負担軽減の効果

 

 夜勤者のラウンドによる訪室は緊急時やご家族の希望による訪室などに限られ、利用者の安定的な睡眠と職員の負担軽減につながっている。その結果、夜勤者は、事務作業、洗濯、介護記録の入力などの時間にあてることが可能となり、日勤帯での効率的なケアにもつながっている。

 

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