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特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設) 社会福祉法人 九州

事例No.0642

取組の背景

以前は決裁や回覧を紙媒体で行っており、管理者のデスクには書類が山積みとなっていた。決裁回覧にも時間がかかり、書類が途中で紛失する事もあった。保管書類も経年とともに増加傾向にあり、保管場所や管理方法が事業所毎で異なっていた為、充分な管理が行えていなかった。
また、情報の伝達方法について、電話や手書きメモを活用し、伝達もれや伝達が重複する等の問題があり、無駄が生じていた。このような状況は大変非効率であり、職員のストレスになっていた。
当時より、国の方針として介護現場におけるICT化が推進されており、補助金制度も整備されてきたので、補助金を活用したICT導入を行い、業務改善やペーパーレス化を進めていきたいと考えた。
上記の問題解決のため、令和2年度に「ICTワーキングチーム」を立ち上げ、令和3年度より「ICT情報処理班」として、法人のICT導入による業務改善やICT機器の管理を行い、情報伝達・共有の効率化、紙媒体による業務の負荷を低減し、ペーパーレス化を図る為の取り組みを行う事となった。

取組の内容

課題に取り組んだICT情報処理班のメンバーは、施設部門から4名(事務・理学療法士・管理栄養士・介護職員)、在宅部門から1名(介護支援専門員)で構成されており、管理監督は副施設長、統括を施設長が行った。

(1)課題の整理

どのようなICT機能があれば、業務改善、ペーパーレス化が実現できるのかを検討。グループウェアを導入する事で改善が図れると考え、導入に向けて検討を行った。優先度が高い機能として「ワークフロー」「ファイル共有」「掲示板」等が挙げられた。

(2)導入グループウェアの検討

資料請求を行い、必要な機能が搭載されているグループウェアをピックアップ、数社トライアルを実施した。選定基準として「初期設定が行いやすい」「操作性が良く視覚的にわかりやすい」「価格」等を考慮した。令和3年4月に導入するグループウェアを決定した。

(3)システム活用・資料作成

グループウェアを導入するにあたり、決裁・申請書類のワークフロー化や、朝礼を廃止して回覧板機能を使用する等、活用の為のシステム作りを行った。また、職員への説明会を実施した。操作方法についての説明動画の作成、マニュアル作成等を行った。
グループウェアで活用する機能として「ワークフロー」「スケジュール」「回覧版」「設備予約」「社内メール」「行先伝言」「文書共有管理」を設定、メンバーで初期設定を行った。
グループウェアを活用できるアカウントは、基本的にはパソコン端末毎に1アカウント用意した。部署で1アカウントになる場合は、管理者用と一般職員用2アカウントを用意した。各事業所のパソコンやタブレットで操作が出来るように設定を行った。

(4)アンケート実施

グループウェア導入前と後に職員へのアンケートを実施した。職員の意識の変化や導入効果などの確認を行った。グループウェアは令和2年10月から導入検討を開始、令和3年7月から運用を開始した。ICT情報処理班のメンバーも専門知識があるわけではなく、各自でWEBや業者の方から情報収集しながら取り組みを行った。職員も慣れないパソコンやタブレットの操作に苦戦していたが、説明動画や資料を活用しながらICT情報処理班のメンバーが個別に操作指導を行う等、グループウェア定着の為の取り組みを行った。

取組の効果(改善点)

(1)業務効率化

 

グループウェア導入後(7ヶ月後)のアンケートにより、情報共有・情報伝達に対する満足度は約75%で、導入前と比べて約3倍以上に増加しており、おおむね満足してもらえている傾向がうかがえた。業務効率化に対する満足度は約60%で、導入前と比べて約2.5倍であった。グループウェアを使用する機会の多い職員では満足度が高く、活用する機会の少ない職員との満足度に差が出ている傾向がうかがえた。
導入して良かった点として、職員から下記のような内容があがった。

  1. 今までメモの取り忘れや誤伝達、伝え忘れ等があったが、グループウェアでは申し送りの内容が残るため、正確な情報伝達が可能になった。
  2. ペーパーレスになり、お伺いもどこまで行っているのかがわかりやすく、とても環境にも良く効率も良くなったと感じた。
  3. スケジュールや設備・備品予約は可視化できていて分かりやすい。
  4. 部署間を移動せず情報共有ができる為、新型コロナウイルスが蔓延する状況で感染対策にもなっていると思う。
  5. 数字は自動で入ります。ここにはテキストが入ります。

ペーパーレス化については、グループウェアで申請をした決裁類はクラウドにデータ保管されるため、紙媒体での保管が不要となった。また、社内メールの活用で研修資料等をデータで配布する事が可能となり、令和2年度と令和4年度(見込み)を比較すると、約30%のコピー用紙の削減につながった。
結果、ICT活用によるグループウェア導入で、課題となっていた情報伝達・共有の効率化、紙媒体による業務の負荷をの低減、ペーパーレス化による法人全体の業務の生産性の向上に成果が得られた。

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