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特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)
社会福祉法人
九州
事例No.0641
取組の背景
以前は、専門学校卒業生等の有資格者のみを採用していたが、施設数を増やすにあたり、高校や大学の新卒者採用も開始した。ところが、3年程経過した頃に離職者が増加し始め、その後、離職率が17%まで上昇した。
採用しても定着しなければ、穴の開いたバケツに水を汲むようなものだと思い、職員の働きやすさの実現、育成重視の取り組みを行うこととした。採用・育成・定着をワンセットと考え、長く働くことができる職場環境を整えたいと考えた。
取組の内容
(1)人材育成
- プリセプター制度の導入
この制度は1年間。入職から半年は月毎に目標を立てる。教える職員は入職後3年から5年の職員。 - 入職後、2年目、3年目、5年目のフォローアップ研修を整備
同期が集まることにより、悩みや課題を共有したり、課題に関するヒントを得ることができる。一緒に成長しているという実感を得てもらうことを目的としている。 - 働きやすさを追求するための「ひとづくりプロジェクト」を推進し、現場の職員を交えた「ひとづくりミーティング」を毎月開催
(2)環境整備・組織体制の見直し
- 年に1回「組織力診断」導入
診断結果は、管理職にとってプレッシャーでもあるが、組織の状態を客観視するためには必要である。
管理職だけではなく、現場職員にもフィードバックして改革を進めている。改善状況について定期的に確認する。 - 事業所内保育施設の開設など、子育てをしながら働ける環境の整備
- 職員食堂の整備(眺望のよいロケーションで、メニューも充実している。ドリンクサーバーの設置)
- 全拠点に電子記録システムを導入
- 2時間有休制度の導入。日祝日の休みについては、全職員が均等に取得できるようにしている。短時間勤務制度の導入。
取組の効果(改善点)
(1)離職率等への効果
- 直近3年間の介護職員の離職率9.6%(介護職員等の離職率平均14.9%)
- 無資格、未経験からの入職増加(プリセプター制度導入による効果)
- 介護福祉士国家資格保有率77%
- 介護職員の定着率93%
- 有給休暇取得率83%
- 育児休業取得率・復職率100%
- 時間外労働時間一人当たりの月平均3.5時間
- 電子記録システムの導入により、朝夕の申し送り時間が60分から15分に減少
記録に係る時間が減少したため、利用者と関わる時間が増えた。ペーパレス化につながった。
(2)その他
- 地域において長時間労働の削減に向けて積極的に取り組む企業(ベストプラクティス企業)として、県内企業の中から選ばれた。
- 他、外部の方から感謝や励ましの言葉をいただくことにより、職員が自らの業務に対する意欲や誇りを持つなど、意識の向上につながり、定着率向上につながっている。