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特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設) 社会福祉法人・社協 北陸甲信越・東海

事例No.0624

取組の背景

(1)ネパールからの介護技能実習生を2019年に6名、2020年に10名、特別養護老人ホーム5施設に受入れた。現在、1期生6名は日本人スタッフと同様に3交替勤務をしており、全員が日本語能力試験N2に合格するなど能力が非常に高く、施設利用者からも、とても高評価を受けている。2期生10名は、来年2月からの独り立ちを目標に介護技術や日本語能力の向上を図っている。

(2)交替制職場において、勤務表の作成はパズルのように非常に複雑であり、主任等の役職者が毎月の作成作業にかなりの時間を割いており、職員間の均衡を図らなければならないなど頭を悩ましている。また、勤務が複雑であるため、勤怠実績の集計や給与計算なども非常に複雑化しており、年次有給休暇の付与日数や特にパートタイム職員の給与ミスが発生していた。

取組の内容

(1)外国人人材の受け入れ

  • 技能実習生一人ひとりに個別指導者(チューター)を配置。チューター職員は、介護福祉士を取得しており、介護の実務経験が3年から5年程度の若手職員(20代女性:同性)を身近な相談役として任命している。
  • 介護福祉士資格を有する日本人職員に日本語教師の資格を取得してもらい、各施設に配置している(法人独自で7名の日本語教師を育成し、本部1名、各施設1名ずつ配置)。施設内で日本語教育の個別対応(介護技術や日本語能力向上の支援)を行っている。

(2)業務標準化

  • 介護業務を見える化(時系列マニュアル、場面別マニュアル、個別マニュアルの3つのマニュアルを作成)し、新人職員や外国人技能実習生への指導を統一した。
  • 交替制勤務(早番、遅番、夜勤)ごとに独り立ちチェックシートを作成し、アセッサー研修を受講した副主任以上の職員が新人職員や外国人技能実習生をチェックし、独り立ち可否の評価をする。

(3) ICTの導入

ICT(勤務表作成支援システム・勤怠管理支援システム)を導入。パソコン操作に不慣れな介護職員が多いことから、システム導入前に職員説明会を行い、導入目的や導入した場合のメリットを説明し、できる限りの理解を得るようにした。紙(タイムカード)からの移行期間を3カ月間設け、移行期間内に何度も軌道修正したり、システムを扱う職員に対して分かりやすいマニュアルを作るなど、工夫をしながら導入を進めた。

(4)各種研修の取組み

介護労働安定センターの各種事業を活用し、職員の意識向上、能力向上を図った。
①健康管理やメンタルヘルス等の相談
 一般職員に対するセルフケア研修や役職職員に対するラインケア研修の実施。福祉現場におけるメンタルヘルスケアの重要性を周知した。
②教育・研修にかかる相談(ケアサポート講習)
 管理職や役職職員に対する研修会(テーマ:成果を上げる業務改善)の実施。
③ 介護事業での生産性向上支援訓練への参加
 11~12月にかけて実施した研修会にそれぞれ6名程度の職員が参加し、介護現場における生産性向上訓練を実施(組織力強化のための管理、成果を上げる業務改善、リスクマネジメントによる損失防止対策)。

取組の効果(改善点)

  • 外国人の受入れやICTの導入などを行うことで、新規施設の開設を前に、職員確保の目途が立っている。
  • 外国人の受入れにより、法人全体の介護業務の標準化を進めることができた。法人全体の介護の質の確保を維持している。外国人技能実習生を受け入れてから、職場内に活気が出てきており、特に日本人職員に対して、モチベーションの向上や愛社精神を高めることができている。ネパールの技能実習生はとても純粋で介護の仕事に対する意識がとても高いので、同じ職場で働く職員のモチベーション向上に繋がっている。
  • ICT導入により、勤務表を作成するうえで主任クラスの負担軽減に繋がったこと、給与の支払いミス(特にパート職員への)がほぼ無くなり、職員からの法人に対する信頼性(信用性)向上に繋がった。
  • 介護労働安定センターの各種事業を活用したことで、全国平均と比較すると職員の定着率向上が図れている。

【参考】

  • 令和2年度介護労働実態調査(2020.10.1~2021.9.30):介護職員の離職率:14.9%
  • 同期間における当法人の介護職員の離職率
    (正規職員4.8%、パートタイム職員10.5%、全体7.0%)
    また、法人内で令和2年度から順次、介護現場における生産性向上の取組を進めており、法人内で業務の標準化・効率化に向けた取組を積極的に行うためのきっかけづくりとして、介護労働安定センターの各種事業を活用している。

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