雇用管理サポートシステム

事例No.619

○主な事業:特養 ○法人形態:社会福祉法人・社協 ○地区:北海道・東北

取組の背景

 開設当初から、介護業界の未経験者や業界歴が1~3年程度の職員を採用してきたが、開設より1年を経過したあたりから未経験者の離職が相次いだ。職員が不足することで在籍している職員の超過勤務や負担が増え、更なる離職者を生むという悪循環が生じていた。職員の定着施策よりも離職した職員の欠員補充に追われ、紹介会社や派遣業者へその補充を依頼せざるを得ない状況となり、開設当初より予算計上されていなかった採用活動費に莫大な費用を費やす結果となった。新設ということもあり、期待と夢を膨らませて入職してきた職員もいたはずだった。しかし、現実問題として、一人ひとりの職員への負荷が大きくなることで身体的にも精神的にも限界を迎えた有望な職員が離職という決断をせざるを得なかった事に事業所としては忸怩たる思いを抱えていた。

取組の内容

①基本給の見直し
 平成29年7月に当事業所を開設する以前は、別の一地区にしか高齢者福祉事業を展開していなかった。
 給与水準は従来の水準から変更することなく市内で開設していた。しかし、介護職員1人あたりの基本給を従前より約12,000円程ベースアップすることで、他法人ならびに他事業所と比較してもさほど遜色のない水準に引き上げた。

②職種別・職種間ミーティングの開催
 離職者の中には本人が抱えている仕事上の悩みや疑問を打ち明ける機会がなかったり、ご利用者やご家族に対する支援について法人としての取り組みや事業所としての方向性を知る機会がないとの意見を持つ職員もいた。
 そのため、不定期ではあるが地域交流スペースに複数人の職員が集まり、毎回テーマを決めて話し合う機会を設けた。
 給与条件や福利厚生等の法人規定に関する改善要望については、ミーティングの場で意見や要望を取りまとめ、現場の職員からの声として定期的に法人に上げた。(内容により実現出来るものと長期的な目線で検討していきたいものには分かれる) 
 また、看護職の入れ替わりも開設当初から頻発していた為、多職種間の実務的なミーティングとして定期的に「医務室ミーティング」を取り入れた。施設長、生活相談員がミーティングに入り、現状における看護師業務の問題点や改善点、介護職との業務上の摩擦等をタイムリーに抽出・協議することで看護職員の離職を未然に防ぐことを目的として取り組みを行った。

取組の効果(改善点)

①基本給の見直し
 現場の介護職員が他事業所の求人を常に閲覧しているという話はほぼ耳にすることはなくなった。
事業所内のミーティングで出た介護職員の意見として、「市内の新設特養が増えたが、どの施設であっても行うことは同じ」という感覚が芽生え、ご利用者、ご家族、周囲の職員と新たな関係性を別の職場で作り上げていくことよりも、当事業所でしっかりと地に足をつけて頑張りたいという考えも聞かれ、事業所と職員との一体感が生まれてきた。

②定期的なミーティングの実施
 以前に比べて給与水準等の労働条件や職場環境を理由とした退職は減り、業務内容の問題点や改善点の抽出をスピード感を持って実践できることに繋がった。また、今後の方針、方向性を明確に伝えられるようになり、法人理念を職員間で共有できるようになった。職場内で個人の相談事も聞けるようになり、業務改善、信頼関係構築にも繋がった。
 離職が減ったことで、以前に比べ職員負担、残業が減った。離職率はおよそ15%改善した。