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グループホーム 民間会社 北陸甲信越・東海

事例No.0616

取組の背景

高齢者は増加しているが労働力人口の減少により介護職は益々採用が難しくなっている。「このままでは介護施設の経営は何れ行き詰まることになる」との強い思いから人材確保に繋がる取り組みを模索し、「皆が笑顔で働きやすい職場」の実現を目指した。

そのひとつとして、生活スタイルを維持しながら仕事を続けられる仕組みである「ワークライフバランス」に取り組むことにした。この取組を行う前は、会社のルールに合わない人は働き続けることが出来ない環境であった。誰もが生活を抱えていることを会社が理解することで、「職員が長く働ける職場」に変えていけると考えた。

取組の内容

●課題として取り組んだ事項

(1)ワークライフバランスの取組

  • ①情報共有の仕組づくり
    従来の掲示版の活用の見直しを行う。また、携帯からいつでも情報共有できるビジネス型チャットツールも活用し、業務スケジュールや引継ぎ等の情報共有、職員の知識向上(介護保険法改正の内容や感染症対策等の知識共有)を行う。なお、このチャットツールは、経費負担が最小限に抑えられ、職員も使い易いものを選定した。
  • ②就業規則の改定への取組
    「短時間正社員制度」と、誕生月に全員1日休暇を付与する「誕生日休暇制度」を新設し、生活と仕事の両立を図る。育児・介護休暇の取得を推進する。
  • ③有給休暇取得のための取組み
    計画的な取得を推進し、勤務表作成時に有給休暇を入れることを徹底した。人員に余裕がある日は、その都度有給休暇取得を声かけする。
  • ④時間外労働削減に向けた取組み
    もともと業務時間内で仕事が終われるように分担している。救急対応などがない限り残業はないことを継続する。

(2)会議や研修の充実

  • ① 計画的な人材育成を推進
    新規採用職員の計画的な人材育成としてエルダー・メンター制度を導入
    6か月間先輩職員が同じシフトでキャリア段位制度の基本項目に沿った介護技術を指導。仕事の悩み相談など精神的なサポートを行う。
  • ② 職員の能力開発、資格取得の取組
    勤務時間内に各種研修を実施。介護福祉士実務者研修通信課程は自施設で受講することができる。資格取得をサポートしている。また、資格取得促進制度(費用の一部負担、休暇の付与)を推進する。
  • ③職員会議として、女性活躍推進会議を定期的に開催し、女性が多い職場のため女性が働きやすい環境について話し合う。一例として、職員の動線を女性目線で改善することや、「子連れ孫連れ出勤」も可能とした。

(3)人事評価制度の導入

評価、面談を報酬に反映し、職員のやる気につなげる制度の確立。
社長面談によるフィードバックで目指すキャリアを擦り合わせることのほか、面談結果を報酬に反映することに着手した。

取組の効果(改善点)

(1)有給休暇の取得率向上
令和元年度78.2%、令和2年度は82.2%となった。

(2)残業時間は1人当たり月0.5時間程度まで削減
業務を時間内に終われるよう管理者が継続して取組んでいることがその要因と考えられる。

(3)研修制度の充実による離職率の低下
平成27年は19.7%だったが、令和2年度は12%となった。
育成担当者が責任をもって教育訓練を実施、毎月の面談で進捗確認や業務上の問題の解決やメンタル面の相談など、新入職員に合わせた対応スタイルが定着したことが要因の一つである。

(4)人事評価制度で評価結果が報酬に反映されることによる職員の意欲向上、ワークライフバランス向上への取り組み推進
重要なことは、決定した内容に取組みやすい環境を作ることを管理者が意識して行うことである。職員ひとりひとりへ意識改革も継続して呼び掛ける風土が生まれた。

なお、これらの取組みが認められ、県のワークライフバランスエクセレント企業に認定された。

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