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特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設) 社会福祉法人・社協 関東

事例No.0612

取組の背景

2001年設立の当法人は、100人以下の職員で運営することを目標としており、記録業務や請求業務の効率化は急務の課題であった。特に介護記録業務は、職種ごとに同じような内容を複数の報告書に記入しており、報告書への記入時間が長時間となり、時間外労働の増加要因の一つと考えられている。報告書様式の共通化や報告項目の見直しを行ない、介護ソフトを導入して記録業務や請求業務の効率化を促進し、介護労働者の負荷軽減と作業効率の向上を図りたいと考えていた。

取組の内容

  1. 介護支援システムの導入
    システム導入に向け、手書きの記録票の電子化を行なうため各様式の共通化を図り、項目の見直しも実施した。
    パソコンに不慣れな職員もいたためマニュアルを作成し、パソコン操作に慣れた職員による個別指導を実施した。また、パソコンを活用させるために一度入力した項目は再利用ができるなど、パソコンの利便性も理解できるよう指導した。
  2. 「シルエット動画画像で知らせる介護ロボット」の導入
    介護職員の身体的負荷軽減にも着手した。助成金と厚生労働省の委託事業による実証研修へ参加した。転倒リスクの高い利用者と新規入居者のベット上の様子を、職員の持つ端末にシルエット動画画像で知らせる介護ロボットを7台導入した。使い方に不安を感じる職員には指導を行い、簡易マニュアルを作成して正職員から操作方法を覚え各担当者へ操作指導を行なった。
  3. 離職率を低下させるための取組みとして介護休業制度・子の看護休暇の利用推奨/メンター制度の導入
    介護休業制度は、条件を満たせば雇用保険の介護休業給付金制度を利用することが可能であり、退職せずに介護ができることを職員に周知した。利用の対象者には、個人面接を行って利用を奨励している。子の看護に関しては、事業所独自の制度を作成し3日/年間まで有給で休暇が取れる制度とした。
    メンター制度は、新人に対して業務教育とは別に、他部署の職員が社会人としての悩みごと相談などを受け1年間に亘り支援を行なう制度であり、新人職員の定着に向けた制度として運用している。

取組の効果(改善点)

  1. システム導入効果は、2時間/1人(月)の削減、全体で月170時間の労働時間削減となり、職員の時間外労働は月平均6時間程度と大幅な削減となった。有給休暇取得率も7割を超える実績が達成できた。
    労働時間の大幅な削減ができたため、利用者の要望(買い物や外食等)を叶えられるようになった。
    ワークライフバランスの取り組み推進会議も月1回実施しており、全職員に周知することで安心感が生まれ、離職率の低下に繋がっている。(前年18.6%→12.8%)
  2. 介護ロボットの導入については、手元のタブレットで確認ができるため、不要な訪室回数の削減、重大事故前の対応が可能となった。また、不要な訪室を削減できたことで、利用者の深い睡眠を妨げてしまうことの防止にも役立っている。使用している職員は、シルエット動画画像での確認ができるため、様々な状況時においても、訪室の必要性の判断が可能となり精神的な負担の軽減にも繋がっている。
  3. 年度内有給休暇の完全消化、時間外労働の削減、仕事と育児・家庭の両立に向けた働き方改革など、職員のワークライフバランスに対する改革への意識が向上した。

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