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事例No.0611
取組の背景
代表者は13年前、訪問介護から事業を開始し、現在は他にデイサービス、有料老人ホーム、また2年前には社会福祉法人を設立し特別養護老人ホームの運営へと事業を拡大してきた。
事業開始当初は、募集経費をかけて良い人材を採用するも定着率が悪く、退職→再採用の繰り返しを続け時間とコストを無駄に費やす、まさに負のスパイラルに陥っていた。
職員は単に「頭数合わせ」ではなく、十分な教育をして自社に適合する人材へと育成しなければ事業としては成立しないと痛感した。
取組の内容
◆人材育成強化策
<研修計画の再構築>
- 入社年次別研修及び階層別研修をテーマ毎に定例化し、日常業務に活かされているかを管理者が定期的にチェックし習熟度を確認した。
- 職種、職歴を問わないオープン型研修(Off-JT)に関しては、職員の希望を尊重した自己推薦型と管理者推薦型(代表者若しくは施設長)を併用した。
- 働きやすい職場環境を目指し、特に「マナー研修」「コミュニケーション研修」「ハラスメント研修」を中心に取組んだ。これらの研修を強化した背景は、過去に職員間の人間関係で離職者が激増した苦い経験である。"お互いを尊重し、他人を誹謗中傷しない"このことを職員全員が共通認識とすることが重要だと考えた。
- 近年は「喀痰吸引等研修」に注力し、介護労働安定センターの支援を受けて実施した。平成30年度/10名、平成31年度/8名の介護職員が受講した。
◆その他取組み
<良好な人間関係を維持するための施策>
責任者(施設長、施設長代理)が率先垂範して、全職員に対し"目配り""気配り"し、常に声をかけるように心掛けた。またいつどんな時でも些細な事でも気軽に意見や相談ができる環境整備を意識して実行した。
職員が辞めたい・悩んでいる等の情報をキャッチした時は、施設長自ら迅速に個別面談し問題解決に努めた。
<採用力強化策>
前年より、採用担当者としてweb媒体採用の経験者を採用し、採用手法の多様化・高度化を図った。求人媒体は複数社を利用し効果的な媒体を2~3ケ月で入替え。自社求人はアクセス解析ツールにより「ユーザー数」を軸に採用戦略を考えた。
取組の効果(改善点)
教育訓練の一環として各種研修の頻度、内容の充実を図り、また「資格取得」を奨励し処遇(手当)に反映することにより職員のモチベーションアップに大きく繋がった。
特に「マナー研修」において、介護業界はサービス業との認識に立ち"一本の問合せ電話を大切に"をモットーにすることの重要性を学び、見込み客への対応スキル(パンフレット送付後の対応)が格段にレベルアップした。
※パンフレット送付→1週間以内に確認電話→顧客ニーズを確認し提案→クロージング。これにより、以前と比較して顧客数は約35%アップした。
「喀痰吸引等研修」についても現在約30名程の職員が研修を修了し、特に訪問介護でのニーズが多く、事業所としての強みとなり、利用者に対してよりきめ細やかなサービス提供ができるようになった。また加算も取得できることから事業所としての収益向上にも寄与している。
「研修制度の強化」が職員の能力開発にも繋がり、尚且つ処遇にも反映したことが離職率低下をもたらした。
さらに「良好な人間関係」を維持するための配慮がリーダークラスにも浸透し、同様の行動をとるようになったこと、「採用力の強化」により"採用のミスマッチ"が回避され良質な人材が確保できるようになったことも相まって、ここ最近の離職率は7.1%(以前は14%前後)と良好であり当該施設及びグループ全体の事業運営も安定している。