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特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設) 社会福祉法人・社協 関東

事例No.0610

職場環境改善や職員の育成等は今まで施設長が主軸を担い、全職員との個別面談により職員からの意見を取り入れる等、独自に「魅力ある職場づくり」に対し力を入れてきた。しかしトップダウンでは効果に限界があった。
与えられた改善では職員の真の満足に繋がらないし、職員自身が考え行動する仕組みづくりになっていないことに気が付いた。
そこが課題であり「自分たちの職場は自分たちで良くしていこう」という考えのもと、職員自らが職場環境改善に関するテーマで「魅力ある職場づくりプロジェクト」として「キャリアパス」「専門性」「業務改善」「コミュニケーション」「職場環境・福利厚生」「広報」の6チームを立ち上げ、施設が抱えている課題の抽出と対策に取り組むこととした。

取組の内容

<子育て支援等を目的とした制度を導入>

勤務終了後30分以内の退勤や、有給休暇9日以上取得を掲げた。法人独自のキャリア認定制度の中で、実務経験5年以上の人に対し「異動・応援経験」項目を設けて、他部署から職員が率先して助け合える仕組みを構築した。

<法人独自のキャリア認定制度(評価制度)の構築>

制度では「実技試験」「筆記試験」「資格要件」「異動・応援経験」「研修受講」を認定要件と定めた。実践的な能力評価・認定、力量評価によるキャリア段位制度とリンクさせ「実際の介護現場で何ができるか」という部分を補うため、7段階の職能レベルを設けた。知識と実践的スキルの両面評価で実施している。同レベルに3年滞留した場合は再度認定を受けるなど、職員の意欲・向上心等を引き出すとともに、人事考課及び職能資格制度と併せ昇格・昇給を実施し、表彰・報奨金・賞与にも反映している。

<未経験者や地域の中高年齢層の参入促進を図る>

  • ①「ボランティア」(社会貢献が目的)
  • ②「いきいきパートナー」(お小遣い程度の収入)
  • ③「パート職員」(家計補助)
  • ④「正社員」に区分けし、専門性・活動内容・報酬等を定め役割を明確にした。

<リフレッシュ休暇の導入>

全職員が年1回の連続休暇(5日間から最長10日間)を取得できるようにした。事務部門は複数担当制にして全員がスムーズに休暇取得できる体制を確立した。

その他に永年勤続表彰制度の導入等、各取り組みについては、施設長が課題に合ったチームリーダーを選任して各プロジェクトチームに任せながら、軌道修正や決裁が必要な場合には施設長が参加し、取り組みがスムーズに進むようにした。

取組の効果(改善点)

  • ○育児休暇取得者は20名を超え、時短勤務者は4名である。当初勤務終了後45分以内の退勤であったが、現在では勤務終了後30分以内の退勤となった。
  • ○職員自らが職場の課題とその解決策を考え探り職場環境の改善に取り組んだことで、環境の変化に対応した更なる提案や検討を行うなど職員の主体性が引き出され、職員の一体感やモチベーションの向上、人材育成にも繋がっている。
  • ○職員が検討し積極的に「実際に職場見学をしているような施設紹介動画」を作成しホームページで配信する等、求めていた以上の効果があった。
  • ○未経験者や地域の元気高齢者の活躍の場を作り、時間帯や季節限定の勤務並びに特技を活かした業務など、多様な働き方による効率的な事業運営に繋がっている。

これらの取組み・改善により、平成29年度県の介護人材育成制度の宣言事業者に認定以降、令和元年度に同制度の認証事業者として県第1号に認定された。 令和2年度には育児・介護と仕事の両立、職場における女性の活躍推進、従業員の家庭教育等ワークライフバランスの推進等に先導的に取り組む事業所として県の認証制度のゴールド認証を取得した。
以上の取り組み内容等をホームページ等で公表し、利用者家族や地域住民、就職応募者からも「働きやすい」「働きがいのある」職場づくりの実績並びに職員の姿勢・対応などに対し高い評価をいただいている。

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