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有料老人ホーム 民間会社 九州

事例No.0606

取組の背景

代表者は、これまで作業療法士として福祉(介護)の仕事に携わる中で、介護職員が定着しないことに懸念/疑問を抱いていた。
介護現場の人材を確保し、定着してもらうためには、従来の介護現場のあり方、イメージを変える必要があるという思いがうまれた。
このようなイメージを変えていくことにより、介護現場が利用者、職員双方にとってよい方向に向かうのではないかと考え、2017年に事業所を設立した。

<従来の介護職のイメージ>

  • 仕事とそのやりがい
    食事・入浴・排泄介助が介護職の主たる仕事
    「利用者から"ありがとう"と感謝の言葉をかけていただく」ことでモチベーションがあがる仕事
    モチベーションがあがることは大事だが、それだけでは物足りないのではないか。
  • 働く環境
    病院のような殺風景な場所で、「いかにも介護の人」という服装(ポロシャツ、ジャージ)

取組の内容

  1. 1.新しい介護職のイメージを確立し、理念として伝えていく
    ①仕事とそのやりがい
    利用者にとって食事・入浴・排泄介助は、生活していく上で大切なサポートであることを踏まえ、利用者の「やりたいこと」「自分らしくありたい」を利用者と一緒になって介護職がサポートする。
    利用者と何かを共有し成し遂げることが介護職のやりがいに繋がる。
    ②働く環境をおしゃれにかっこよく
    ・ここでなら働きたいと思える"カフェのような"おしゃれな職場づくり
    ・職員に介護に支障がない程度のおしゃれを容認
    (ユニフォームはおしゃれなロゴ入りニット、女性ならネイル、カラーリング等、男性はひげもOK。但し、清潔感を保ち、雰囲気を逸脱しないことを守ってもらう)
  2. 人材確保・定着のための取り組み
    ①事業所が提供するサービスやプログラムを明確にした。
    ②月1回職員との面談を実施
    ③ひとり親家庭、障がいの方、LGBTの方と分け隔てなく受入れ、個々のスタイルに合わせた働き方ができるよう事業所の考え方を整理し(「みんな特別扱い」)、制度や働き方を整備した(変形労働制や分業制を導入、ダブルワーク容認、助成金活用等)。
    (例:分業制:車いす歩行の職員→レクのカラオケやフロアでの見守り、声掛け担当) ④事業所の取り組み、今後やりたいこと、求める人物像について積極的に情報を発信している(地域との交流、SNSの活用)、地域包括支援センターとも連携し、コミュニケーションの場としても事業所を開放している。
    ⑤インカム(構内電話)やトランシーバーアプリ(スマホにダウンロードして使用)の導入

取組の効果(改善点)


  1. ①新たな理念の元、職員一人一人が利用者との関わり方を模索するようになった。
    利用者のやりたいことを叶える「夢プロジェクト」を実行中。
    また、介護職員が利用者の「やりたい」「できる」を引き出し、普段の生活の場面やイベント等に参加してもらい、職員もそれを一緒に楽しんでいる。
    ②職員はかっこよくおしゃれをしている。
    職場への満足度が高く、仕事への意欲喚起に繋がっている。
    (利用者も職員に影響を受け、髪型をまねたり身なりを気にするようになり、気持ちに張りが出たように見受けれれる。思わぬ相乗効果がうまれた。)

  2. ①事業所が目指すサービス、プログラムを明確に打ち出したことで、それをやってみたい利用者が集まった。
    結果的に介護度の差があまりなく、職員が利用者の介助をしやすい。
    ②職員の現状を把握すると共に本人の課題や目標を確認することで、本人が自身の目標を意識し仕事をするようになった。
    ③会社が職員一人一人を「特別扱い(=それぞれの希望の働き方やスキルアップを応援)」しているので、職員から不満がない。
    ④積極的に事業所の情報を発信しているので、それをキャッチした人が集まってくるため人材確保には困っていない。
    地域との交流も深く地域に溶け込んだ事業所になっている。
    ⑤インカムを導入したことで、情報共有がスムーズになった。
    大声を出す必要がないため事業所内が静かで落ち着いた雰囲気に(利用者の心理面にも良い効果!)。
    トランシーバーアプリは送迎の際や集まらずにミーティングができる等大活躍。
    職員の発言も増えた。

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