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介護老人保健施設 医療法人 近畿

事例No.0603

取組の背景

10年前から5年前くらいまでずっと、採用しても短期間で辞めてしまうような、定着の悪い状態が続いていた。
当時、生活相談員であった副施設長が、離職理由をヒアリングし続け、また現場の職員の悩みに耳を傾けて、新人向け3年計画育成プログラムを考案した。
離職については、1番の要因が配属後の人間関係であったため、事業所が主導で新人が良好な人間関係を構築できるような環境づくりを目指し、各リーダー職に意識付けを徹底した。

取組の内容

■1年目:『3Nプロジェクト』(習う・慣れる・なじむ...のN)

目標:配属先で日中業務の独り立ちができる

4~6月:サービス向上チーム(本部付きの新人育成チーム)によるOJT、各部署での見学実習(リハビリ、デイサービス)
7~12月:3か月ごとにフロアを入替え、6カ月の現場実習を行う。OJTはリーダ職(主任、副主任が補佐)が担当し、指導者不在の日は、サービス向上チームで業務を行い、独りぼっちにならないように配慮する。
1~3月:配属予定先で指導者について業務を行う。夜勤は4人目の担当者として入り、夜勤指導を受ける。
まずは業務と並行して、各部署での人間関係を構築させるため、新人研修を行った後にすぐ配属は決めず、数ヶ月おきにすべてのフロア、部署を経験させる。1年目が終わる頃には、すべてのフロアリーダーと面識が出来ており、職場への帰属意識を高めることが期待できる。また、メンターとなる存在からアドバイスを得たり、様々な部署を経験することで、自己の適正に応じた業務を模索することもできる。

■2年目:『3Mプロジェクト』(前向き・真似る・学ぶ...のM)

目標:すべてのシフトに対応、夜勤の独り立ちを目標とする

2年目以降は配属先を決め、部署内でのOJTを経て、夜勤にて独り立ちできることを目標とする。
先輩や同僚との人間関係は1年目で構築できているため、夜勤担当でフロアに1人になっても、別のフロアの先輩や同僚に相談が出来、緊急時も安心して業務に取り組める。
業務への不安を取り除いたおかげで、1、2年目の離職者が大きく減少し、人材の定着に成功した。
また、3年目以降のキャリアを見据えて、実務者研修や認知症介護基礎研修を受講させる(受講料は法人より支援)

■3年目:『3Kプロジェクト』(関わる・活躍する・介護福祉士を取得する...のK)

目標:利用者担当を持ち、後輩のOJTが出来る

3年目は各自が担当を持ち、個別ケアが出来るようになるのが目標。
また介護福祉士取得など、専門職としてのキャリアをステップアップさせる。
自分たちが先輩に育ててもらったように、後輩育成を受け継ぎ、事業所の特色としていく。

■4年目以降『3Jプロジェクト』(自覚・自立・上昇...のJ)

専門職としての自覚を持って、ケアマネジャーや認知症指導者を目指したり、将来的に事業所運営に携わるマネジメント力を高めたり、自身の適正を見極めながら、自律的にキャリア形成ができるよう、フォローを行っていく。

取組の効果(改善点)

課題であった採用後3年未満の離職が大きく減った(5年前:約20%⇒現在:0%)
今年度は、高卒で高齢者に接した事のない人や、介護が初めての人、人間関係に躓いて離職をした看護師などを正職員として採用。
昨年度は工場のライン勤務の若者3名を受け入れるなど、さまざまな職歴の人材を受け入れている。
同僚や利用者の名前が覚えられないのが、新人の最大の悩みだったが、顔を覚えるのにも、最初に部署を一巡する方策は効果的と言える。
制度導入の1年目は、人手不足の現場からは大不評のプログラムだったが、人を渡してもすぐに辞めさせている現状について理解を得るため根拠を持って説得し、3年目になって効果が表れるようになった。

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