本文へスキップします。
有料老人ホーム 民間会社 九州

事例No.0596

取組の背景

平成19年、同じ敷地内に社会福祉法人が運営する施設が5施設ある中、有限会社で介護付き有料老人ホームを開設した。平成28年に当時のオーナーが亡くなり、経営を引き継いだが、開設9年目になり、経営の見直しと欠員が出た際の応募者が無い状況など、将来的な人員確保の不安や全体的に職員の閉塞感を感じ、経営面と人材確保の二つの課題を抱えていた。

これらからの人材不足を見据え、長期に安定的に働ける職場、柔軟な働き方ができる職場、休みがしっかり取れる職場、この3点が必要だと考えていた。しかし、介護職の正社員は全体の1割程度で、その他は契約社員と休みや働く時間に制限があるものはパート職という雇用形態の現状があった。業務内容は正職員とほとんど変わりなく、契約社員やパート職員は潜在的不満を持っていた。また、隣接する社会福祉法人と比べ、給与や賞与に格差があったことも不満の要因であった。

その折、介護労働安定センターから「人材確保のための雇用管理改善促進事業」の案内を受けた。セミナーを受講し、終了後は個別に相談対応いただける内容であったため、藁をもすがる思いで申込んだ。個別の相談で、現在の課題と今後どう運営していきたいかとの思いを一気に話し、聞いてもらった。経営を健全化するためにはまず、「人」が一番大事で、働いている職員が生き生き元気にやりがいを持って働いてくれたら、必ず良いサービスに繋がるとの考えを伝えた。この事業への参加が、抱えている課題を大きく改善していくきっかけとなった。

取組の内容

  1. フルタイムで勤務している職員を全て契約職員から正職員へと雇用形態の変更を行った。例えば、子育て中の職員で日曜日休みを希望している方でもフルタイムであれば正職員にした。
  2. 定年制を65歳に引き上げ、65歳以降も本人の希望や意向を聞きながら柔軟な雇用条件で雇用継続した。
  3. 賃金体系の見直しを図った。年齢に応じて昇給する基本給と職能に応じた職能給、資格手当も改訂した。

取組むにあたり、人件費を増大せず実行することが大きな問題であったが、雇用管理改善サポーターのアドバイスを受け、処遇改善加算等を上手く活用し、今までの人件費を大きく上回ることなく賃金体系を改正し、正職員化することもできた。

取組の効果(改善点)

平成30年は、退職者が一人もなく、常勤換算を大きく上回る人員配置もできるようになった。また、人員が揃っていることで、全職員、4日連続のリフレッシュ休暇を取得することが可能となった。

また、職員が安定して勤務することで、施設全体が落ち着いた雰囲気となり、その中で利用者様と向き合うことができ、サービスの向上にもつながってきている。

職員も連続したリフレッシュ休暇や希望休が取り易くなった。また、急な休みに対してカバーできる体制にもなったことで、子育て世代の若い職員も安心して働ける環境の整備もできた。
経営陣としては、人員が安定することで、離職者対応の業務にかける時間の削減となり、今いる職員とのコミュニケーションも円滑に取れるようになった。

今後も様々な年齢や環境の方々が、お互いのことを尊重し合って働ける環境、また長期的に活躍できる職場として、職員の幸せは法人・施設の幸せという思いを大切に、よりよい職場環境を目指して改善を継続していく。

この事例が当てはまる分野