雇用管理サポートシステム

事例No.594

○主な事業:グループホーム ○法人形態:民間会社 ○地区:九州

取組の背景

 若い職員の人材育成に苦慮している。キャリアパスはあるが、職員を評価する制度がなく、自分の仕事を振り返ったり、見直したり、改善策を立てる機会がない。
 そのような状況が長く続いていることから、職員がそれに慣れてしまい、上司から指示されたことをやればいいという「指示待ち型」から脱却できず、自ら成長しようという風土が育まれない。
 平成生まれの職員は想像力や思考力に乏しい一方、素直さや優しさに富んだ人材も少なくない。会社として求める人材像や各キャリア等級で求められる能力を具体的に示すことができたら、職員自身がしっかりとした目標を立てられ、これまで以上に仕事を頑張り介護に対する取り組みも変わるのではないかと考えていた。
 解決策を模索するなか「介護の雇用管理改善CHECK&DO25」を事業所内で実施。「人材育成」よりも「労務管理・職場環境」「法人・事業所の風土」に課題があるとの結果が出た。その内容から、事業所内における「話し合い」などコミュニケーションが不足していることも判明した。

取組の内容

 介護労働安定センターに相談し、アドバイスを受け以下のことに取り組んだ。
研修体系制度を構築するには、時間と経費がかかるため、今あるキャリアパスを活用した評価制度を導入し、自主性、自立性が不足している職員の自己変革を促す制度運用を目指すこととした。

・現行のキャリア等級を3段階から7段階に増設。7等級「経営職」6等級「管理者」5等級「主任」4等級「ユニットリーダー」3等級「上級職員」2等級「中級職員」1等級「一般職員」とした。
 また、各等級において実践的スキル(できる)を要件1、資格や研修などの知識(わかる)を要件2とし、両要件をマスターして、その等級へ昇格することを原則とした。
 リニューアルしたキャリアパスの4等級以上は、リーダーシップ、指導力、チームをまとめる能力など会社が求める人材像を明記し周知徹底することで意識改革を図り、また、職員が短期・中長期目標をイメージしやすい要件とすることで10年先、20年先も法人内でキャリアを重ねていけるような設計とした。

・評価シートは有識者用のジョブカード様式を活用し、3種類作成した。レベル1は「実践」、レベル2は「提案・指導」、レベル3は「指導・管理」の視点で設定した。
 評価項目は、中央職業能力開発協会の職業能力評価基準から項目を選定。運用の負担とならないよう300以上ある項目から、事業所が大切にしていることや職員に取り組んでもらいたいこと、実践的なスキルや身につけて欲しい知識など、実践できたら利用者の利益になるという視点をポイントに上位100個を選定し分かりやすい表現で定めた。

・職員の頑張りにこたえるため、賃金規程を修正しリンクさせた。

・評価期間を半年とし、評価結果をフィードバックするため、少なくとも年2回「話し合い」の機会を設けること
 で、コミュニケーション不足の解消を図った。

取組の効果(改善点)

 会社が求める人材像を具体化・明確化することで、職員自身が何を学び、何を努力しないといけないのかが分かり、いつでも評価票を見て、目標を持って自らの能力の開発・向上に取り組むことができるような環境を整備することができた。また、自らの努力が評価結果から給与に反映されるなど、職員のモチベーションにもつなげている。

 さらに、日々の利用者に対するケアや業務に関する自分の意見・考えを述べることも少しずつ多くなり、他の職員との話し合いや意見交換を通じて、ケアや業務改善につなげるなど、職員自ら考えと根拠を持って利用者を中心とした献身的な提案をしてくる機会が増えている。これらの変化は会社と職員が評価票を共通のツールとして、職員個々の長所と短所を共有することで、ストロングポイントは褒めて伸ばし、ウィークポイントにはOJTやOff-JTを通じて能力の向上を図るなど、一人ひとりに合わせた指導・教育ができるようになったことが大きいと感じている。

 また、評価期間を半年とし、年に2回評価結果をフィードバックするために個別面談をすることで、職員一人ひとりとじっくり話す機会を設けることができ、会社や職員の考えや想いを共有することにつながり、コミュニケーション不足の解消になっている。

 一方で、「評価項目が多く、全てをクリアできるかが不安」との意見があったり、評価に個人差が見られるなどの課題もあるため、今後は介護プロフェッショナルキャリア段位制度の活用など、見直しを重ね制度を進化させながら継続したいと考えている。