雇用管理サポートシステム

事例No.590

○主な事業:特養 ○法人形態:社会福祉法人・社協 ○地区:北陸甲信越・東海

取組の背景

 従来は、紙に記録する事やコピーを回すという紙ベースでのやり取りが手間であった。
 また、相談員、介護職員、看護職員、日勤・夜勤職員といったいくつかの日誌があり、申し送りや記録文書など同じ内容を2度、3度記載する手間があった。さらに、紙ベースの報告書では、伝達事項が伝わっているのか、どの程度まで回覧されているのか等の確認が出来なかった。
 人によっては書いた字が汚くて読めなかったり、書くことが負担で充分な内容のものでなかったりと状況を把握しにくいことがあった。

 このことから、業務負担の軽減と情報共有をすることでケアプランの質の向上を実現するため、ICTの活用(業務支援ソフトの導入)に取り組むこととした。

 ロボット機器、ICT等、常々売り込みがある中で、業務(介護サービス)の質の向上を目指すためには、上記のような業務負担の軽減や情報の一括管理をすることでコミュニケーションの効率を上げる事が重要であることから、簡単な操作で運用でき、豊富な情報を蓄積できるものの導入を検討することとなった。 
 課題としては、スマホが普及している現在であるが、職員の中には高年齢者もいる事から、実際の機器操作に抵抗があることが懸念された。

取組の内容

 導入の目的であるケアプランの質の向上に繋げるため、必要とする情報と支援メニュー(機能)について、入力項目とソフトが出来る事について検討を重ねた。

 利用者スケジュール、勤務表、施設スケジュール、会議、訪問者予定、面談予定等の入力により、施設全体の情報を一か所に集約でき、職員間の連絡・情報交換が可能となることで、利用者の予定入力・変更について時間差なく表示・情報交換が可能となった。また、立てたケアプランについて記録の共有によってチェックが容易になり、状態に合わせた計画の見直しができるようになった。
 支援メニューと連動していることから、利用者情報を総合的に活用でき、職種を超えて様々な角度から分析することで、チームケアを実現することが可能であり、課題を職員間で共有し、最適なサービス提供に繋げる事が可能となっている。

 システムへの情報入力については、パソコンに苦手意識を持っている職員も多かった。そこで、導入時にシステム導入研修を開催し、最初にシステム提供者がケアリーダーに操作方法の研修を行った。1ヶ月以上かかったが、そのケアリーダーが次に教え役となり広げていき、現在は70歳の方やEPAで在籍している方も対応できるようになっている。一部75歳の方については、代わりの職員が付き入力を行って対応している。

取組の効果(改善点)

 利用者の健康状態や介護状況を素早く記録・参照できるようになり、介護日誌や相談員日誌などを同時に複数の職員がリアルタイムで情報共有できるようになった。また、データ管理されていることから、日勤・夜勤日誌が通しで読める事や、相談員日誌を看護日誌にとばすことができるなど、時系列、内容別、利用者別に整理でき、同じ文書を2度3度書かなければならない手間が省け、業務負担の軽減につながった。
 また、パソコン内でモニタリングができるなど業務効率に繋がったことで、本来の介護業務に時間的にゆとりを持って専念できる環境となりサービスの質の向上につながっている。

 今後も、職員の働きやすい環境の実現は介護サービスの質の向上に繋がるため、タブレットの活用など業務改善・業務効率化を検討していきたいと考えており、それによって生み出された時間による介護サービスの向上、職員の満足度やモチベーションアップなどに繋げていきたいと考えている。