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特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設) 社会福祉法人・社協 北海道・東北

事例No.0586

取組の背景

当法人は、介護保険法が施行される以前のいわゆる措置時代に行政も関わり特別養護老人ホームを運営するために設立された法人であり、その後様々なサービス(通所、短期、訪問、居宅支援、地域包括)を提供している。行政も関与して設立した法人であることもあり、働く職員の雇用環境や人間関係も含め良好な法人である。
職員のモチベーションや資質向上を図りたい考えはあるが、法人が運営している委員会にも資質向上等の研修への派遣、法人内での勉強会はあるものの、明確な改善になっていないことが課題であった。

取組の内容

介護労働安定センター介護人材育成コンサルタントからの助言により、職員のスキルやモチベーションアップについて考えるための研修会を開催してもらったが、それだけでは目に見える改善には至らなかった。
その後、介護職員処遇改善加算取得について介護労働安定センターに相談した際に、要件となっているキャリアパスフレームや職員のキャリア開発の支援が足りない、指導や評価にバラつきがあることが課題とされた。
そこで以下の取り組みを実施した。

●H29年度
雇用管理改善CHECK&DOを実施し法人の現状を把握する。
職員(約70名)、副主任(11名)、主任(12名)、管理職(6名)に分けて分析
管理職は「出来ている」と思っている項目が、職員は「出来ていない」と回答している。

  • 「仕事ぶりや能力の評価」
  • 「処遇(賃金改善)」
  • 「仕事の役割や責任の範囲、必要な能力等を明確にしている」

●H30年度

  • キャリアパスフレームによる諸手当の改善を行い、処遇改善加算「Ⅲ」→「Ⅰ」を取得した
  • 法人経営の勉強会の実施
     副主任以上が参加し雇用管理コンサルタントから経営を学ぶ
  • 従来の評価制度の見直し
     介護指導者育成委員(5名)を選出し、評価制度を運用している
     3法人へ勉強に行き、当法人にあった評価制度を再構築した。
     雇用管理改善CHECK&DO(2回目)の実施
     昨年度との比較を行い、改善状況の「見える化」が実現した。

導入にあたり、従業員にはICT活用、操作方法への抵抗感はあった。しかし、その心情には充分に配慮し、その上で必要な設備であることと導入前に操作方法の研修の充実を約束し、導入への理解を得た。操作そのものは特に難しい事は無く、数回の研修で従業員全員がマスターできるものだった。

取組の効果(改善点)

●法人の現状把握が出来た
法人内の雇用管理状況を把握するために、介護労働安定センターのアドバイザーから助言いただいた「雇用管理改善CHECK&DO」を活用したことで、これまで管理職等が法人の課題を「ぼんやり」と理解しながらも、どの項目がどの様に職員の間で課題となっているのか不明であったが、明確になった。

●法人が取り組むべき項目の明確化
管理者が課題と思っている事と一般職員が課題と思っている項目のズレや緊急性を正確に知ることができた。この調査を行うことで法人の計画を全職員が理解出来たと思う。

●評価制度のあり方を見直し
他法人の評価基準を真似するのでなく、法人に合ったオリジナルなものを、担当委員が試行錯誤し考えること自体が職員の働く意欲と人材育成に繋がったと言える。また、運用後も改善していくシステムを構築するなど継続していく。

●処遇改善加算取得による効果
賃金改善だけではなく、法人が取り組む研修や資格取得への意欲向上と支援が出来てきた。

●各部署でテーマを選定し取り組んだ内容を発表する場を設けた。このことにより、部署含め担当者の意識向上が期待できる。また、全職員で聴講するため、職員への啓発や気づきにつながる。QC活動のように忙しい中でも部署内コミュニケーションが良好となり、一体感が生まれることに今後も期待したい。

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