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特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設) 社会福祉法人・社協 北海道・東北

事例No.0584

取組の背景

介護職員に限らずかかわるすべての職種の人員不足は深刻であり、常に経験者を雇用できるとは限らず、経験のない職員を雇用したときに、経験者ばかりに負担が増えることを避けるためにどのように取り組むことが必要か。

また、一人で業務を行う時間帯もあり、精神的な負担をどのように軽減できるか、緊急時の対応について安心して働ける環境を作るにはどうしたらよいかなど、介護職員全ての業務において見直し、負担軽減できるものはないか検討を進めた。

取組の内容

  1. タブレットを使用した記録システムの導入
    以前は書類に直接記入していた。利用者の基本情報や日々の介護記録を入力することで紙媒体で記入する時間ロスの軽減を図った。また職員によってはタブレット使用に不慣れな人もいるので都度サポートした。
  2. 介護業務内容の見直し
    直接利用者の身体に触れない業務と触れる業務を明確に分けた。触れない業務は主に掃除・洗濯・調理補助、ベットメイキング・リネン交換であった。これらの業務をする職員を「生活支援員」という名称で位置づけした。その頃法人だけでなくグループ全体で障害者雇用を積極的に進める方針が打ち出されたことも重なり、毎月行われる管理者会議にて雇用促進と業務内容の見直しが進められた。
  3. 自動体位変換エアーマットの導入
    29床のうち介護度5が13名、介護度4が9名、介護度3が7名であった。そのうち約3分の1程度の利用者に対しこのエアーマットを活用。すべての体位変換をエアマットではまかなえないものの、職員による体位変換の介助回数・それにかかる時間を減らすことができており介護負担が軽減されている。夜勤体制は1ユニットに1名。平均2時間ごとの体位変換介助は介護負担が大きく腰痛が懸念されていたため導入を決めた。
  4. 生体情報のモニター導入
    1ユニットに1人夜勤体制の中で、終末期等の利用者がいる場合、連携している協力医療機関でも心拍数、血圧数値が把握できるモニターを設置。これによりそれらの数値が下がったり停止したりすると、協力医療機関から連絡がきたり場合によってはすぐかけつけてくれる体制をとっている。これにより一人夜勤中の職員が他の利用者の介護に集中できるようになった。モニター設置については主治医に相談、指示のもと行っている。

取組の効果(改善点)

  1. タブレットの導入により、ひとつの情報の入力時間が短縮でき、また、直接介護業務後の事務処理が軽減できた。その他、ファイル準備や整理などに要する時間が軽減できた。
  2. 介護業務全体を見直し、清掃や洗濯、調理補助など、補助的業務を専門に行う「生活支援員」を積極的に雇用することで、介護職員でなければならない業務に集中でき、介護職員の負担軽減を図ることができた。
  3. 自動体位変換エアーマットを導入することで、2時間おきに行っていた体位変換の間隔をのばすことができ、介護職員の負担軽減を図ることができた。また、夜間時は、入居されている方の安眠の妨げを軽減することができた。
  4. 協力医療機関との連携のもと、看取り期の方に対し生体情報のモニターを設置し、協力医療機関でもバイタル状況をタイムリーに確認できるようにしたことで、夜間の急変時の対応がスムーズにでき、夜勤業務における職員の精神的負担の軽減を図ることができた。また看取り期に携わることで職員の自己研鑚意欲が向上した。現在ではエンゼルケア講習が定期的に開催されるようになった。

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