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有料老人ホーム 民間会社 北海道・東北

事例No.0570

取組の背景

職員の出入りが多く人材不足になり、施設の定員より利用者が少ない状況が続いていた。職員不足の原因は、5年前に開所して経営自体の経験も少ない状況の中で、昇給、介護経験の有無も関係なく賃金体系が職種別職員同一であり、矛盾が生じていたことである。

改善を進めるべくキャリアパスは作ってあり、昨年、介護労働安定センターの雇用管理相談を受け、制度の見直しを行った。また、離職理由の中に「仕事に追われて自由な時間が取れない」との声が多く聞かれ、育児や介護との両立、決まった日時だけ働きたい人、定年後も働き続けたい高齢者などと職員の労働時間に関する要望は様々であった。

一方、パート職員にはモチベーション低下、責任感の欠如、正職員とのコミュニケーション不足が見られ、それが事業運営改善の妨げになっているという課題があった。福利厚生についても職員にとっては不満な部分もあるようだった。

取組の内容

勤務体制の見直し、高齢者の活用、福利厚生の充実は離職防止だけでなく新規職員の採用にも効果があると考え、3つの制度を導入した。

  1. 短時間正職員制度の採用:本制度は、勤務日数または労働時間が正職員より短いが、正職員と同じ職務内容で月給制とし、諸手当も正職員と同じとした働き方である。
    まず全てのパート職員から正職員への切り替え希望と、希望する労働時間をヒアリングし、希望者を短時間正職員に登用し、全職員ができるだけ働きやすい勤務体制となるよう工夫した。
    短時間正職員制度のポイントは、月の勤務時間を2種類に分類した(①B社員90~99時間、②C社員116時間~125時間)ことである。現状、正職員のA社員19名、短時間正職員のB社員とC社員で計8名、パート職員5名体制となった。
  2. 定年制度の延長:定年を66歳に変更し、高齢層の職員採用を円滑にした。
  3. 福利厚生の充実:休暇制度を充実させた。

(1)自分メンテナンス制度:1年間、精勤手当の対象となった職員に自分をメンテナンスする日として1日の有給休暇を付与。
(2)記念日休暇制度:誕生日や結婚記念日等、本人の申告により毎年1日の有給休暇を付与。

取組の効果(改善点)

  • 短時間正職員になった職員は、正職員と同じ職務内容、待遇となり、モチベーションがアップした。また、従来はあった正職員との壁が無くなり、同じ施設の職員として連帯感、責任感がでてきた。
  • 定年制延長により継続雇用となった職員は7名おり、職員の中でも重要な戦力となっている。
  • 有給休暇の種類が増え、且つ取得しやすい体制となった。家庭、仕事との両立、生活のメリハリができ、職員のリフレッシュが進み、それが仕事上にも良い効果を生んでいるようだ。
  • 助成金の活用ができ、コスト面からも円滑に諸制度の導入を進めることができた。
    定年制延長:65歳超雇用推進助成金
  • 3つの改善は、従来の正職員に対する改善ともなっており、職場雰囲気も良くなり定着に繋がっている。
  • 前年に比べ離職者が大幅に減少した(本年度は職員の個人的な理由での離職者2名、2年前は7名)。 

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