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有料老人ホーム 民間会社 九州

事例No.0565

取組の背景

当初は「利用定員に余裕があるため、空き定員の枠を埋めて経営安定に繋げたい」との悩みが強かったが、そのために事業所として何をすべきかを考えた。その結果「サービスを充実させ、より良い事業所にする」「研修を充実させてスタッフの質を向上させる」という結論に達し、雇用管理改善の必要性を考えた。

しかし現状は、以前導入した人事評価制度が、目標管理でつまずき運用停止状態である。運用中のキャリアパスについては、求められる能力や職務内容、資格や教育的基準などが職員に浸透しておらず、等級も幹部職2等級、一般職2等級の計4等級に区分しているため、運用の限界を感じていた。

また、職員には定期的に研修の必要性を呼びかけ、研修費用の助成や勤務シフトの配慮にも応じていた。しかし、子育て世代が多く家庭とのバランスもあり、自己啓発の業務終了後の勉強会や休日を利用した研修受講などへの参加には消極的な職員が多い、という状況であった。

取組の内容

  • ①研修の情報提供や費用の全額負担、所定内労働時間内の研修は勤務扱いであること等について説明する機会を設けた。
  • ②月1回のミーティング内容を「事務的な業務連絡」にとどまらず、「利用者を喜ばせるために取り組むことはないか」「仕事の環境を改善できることはないか」なども含め、職員からアイデアや提案を募る機会とした。
  • ③キャリアパスの等級数を4から5に変更した。堅く抽象的だった各等級の任用要件の表現を、具体的な業務の実践的スキルと資格や研修の知識的スキルの2つとし、分かりやすい表現にすることで、職員への素早い浸透を図った。
  • ④人事評価シートの評価項目には、新キャリアパスの任用要件を設定した。シート様式には在職者の職業能力評価用のジョブ・カードを活用し、評価基準は日常業務で80%できていればA、50%以上80%未満はB、50%未満はCとし、自己評価、会社評価ともに行うルールを設定した。
  • ⑤④で行った評価に対し、評価責任者が評価結果を職員にフィードバックする機会を設け、職員の気づきと成長を促すこととした。
  • ⑥キャリアパス基準と人事評価シートは運用前の職員周知を徹底することでスムーズな浸透に繋げた。
  • ⑦土曜日の休みを希望する職員が多く、土曜日の賃金を高く設定している。各等級の賃金テーブルではなく、レンジ給(範囲給)による賃金体系を構築した。新キャリアパス基準と評価シートの任用要件と評価項目には、「職員同士協力しながら業務ができる」「新しいレクリエーションや業務改善の提案ができる」など、職員間のコミュニケーションを円滑にする内容も織り込んだ。

取組の効果(改善点)

取組みの結果、敬老会のプレゼントを職員の提案で既製品から手作りのものに変更したり、利用者の作品の掲示方法を工夫したり、地域のケアマネジャーへ配布する事業所パンフレットを職員で作成し直接届けるなど、以前より職場が活性化してきた。

結果的に利用者が増えるという好循環が生まれ、次年度からは定員枠を広げることを検討している。

職員の力量を上げ、利用者に喜んでもらうためには教育・研修は欠かせない。しかし、子育て中の母親や主婦である職員には体力的、時間的余裕もない。そんな職員にも受け入れられやすいものを完成させることができた。

今回の取組みをきっかけに職員からのアイデアや提案が増えた。職員の自主性を尊重し、それが利用者の満足度に繋がり、自信となっている。

これからはもっと職員を信じ、もっと仕事を任せ、職員が主体の職場づくりに取り組んでいきたい。

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