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有料老人ホーム 社会福祉法人・社協 近畿

事例No.0559

取組の背景

当法人は、平成24年度から従業員のメンタルヘルスケアに積極的に取り組んでいる。就業規則には「職場復帰のためのプログラムに関する規定」が定められており、ストレスチェックの実施も行っている。

現在までにメンタル面で不調を訴え、休業を取得した職員が合計8名おり、現在は上記の規定に基づいて半数が職場に復帰しつつある状況である。
また、その職員を統括する管理者も、業務上のストレスから休職している。この現状から、ストレスチェックを実施するも、その後に職員が自身のメンタルヘルス管理に活用することができていない結果ではないかと考え、ストレスチェックを有意義なものにするために、実施の意義・意味を職員に理解してもらいたいと思っている。

休業取得後の復職者に対する対応の仕方について、管理職層に世代間の認識の相違があるため、研修をどのように進めていけばいいのか苦慮している。

メンタルヘルス対策に取り組んでいるのが、担当者一人ということも問題点であった。それぞれの部署の管理者のみが対応し責任を負うのではなく、法人全体として取り組むべき課題であることを認識していく必要がある。

取組の内容

既に就業規則に、休業及び復職に関する諸規定を定め対応しているため、次に取り組むべきことは従業員個々の意識を充実させることにある。

職場環境が原因で、ストレス以外の理由で休職している者もいることから、職場を運営管理する法人全体でメンタルヘルス対策に取り組む。

また、従業員個人も自身のメンタルヘルス管理にストレスチェックが有効活用できるよう、法人と個人の双方が努力していくように取り組む。改善のためには、内部の努力だけでは解決できない部分があるので、外部の専門家や協力機関との連携をもって、よりよい職場環境づくりへ取り組む必要がある。

その取り組みとして、法人本部と各部署の管理職を対象とした「よりよい職場づくりのために~職場のメンタルケアを考える~」がテーマの勉強会を、介護労働安定センターのヘルスカウンセラー相談により開催することとなった。

2部制として、第1部では、「ストレスの要因」「経営と運営の狭間で起こる葛藤」「ラインケアの基礎知識」「ストレスチェックの活用の仕方」などの講話を行い、第2部では、事例をもとに実際の対応の仕方について、グループワークを通じて実践的に学んだ。

取組の効果

管理者自身のセルフケアに繋がった。管理職者自身が、「管理する立場の者だから」「人を援助する専門職者だから」という理由で「メンタルヘルスケアを受ける対象ではない」=「援助する側が援助されるのはおかしい」や「どんなに辛くても自分で解決するべきだ」と言うように考えられがちだが、それらは誤った認識であることを改めて学ぶことができた。

次に、ラインケアの基礎知識として、管理職者は部下の変化に早く気づく必要があり、その気づきは、職員(部下)の「態度」「行動」「仕事への取り組み姿勢」を材料とすることを学ぶことができた。そして、変化に気づいた時の対応においては、「聴き方」「メンタル不調の理解」「外部の専門職者との連携の必要性」「個人情報=受けた相談内容の保護」についての知識を得た。その知識を、第2部のグループワークで実践し、理解を深めることができた。
ストレスチェックについても、あらためて内容を確認し、実施の意味を教わった。それを今度は、それぞれの部下に伝達をして、活用をうながし、職員個々で全員がセルフケアに取り組んでいけるような環境をつくる意識づけができた。

この勉強会に法人本部の理事達も参加したことから、事業所内で起きている職場環境について知る機会となり、今後は、メンタルヘルス対策を法人全体として取り組んでいく課題であることを理解してもらえた。
また、複数の部門・部署がある法人であるがゆえに他部署間の連携が取りづらい状況だったが、グループワークを通じて、今までは疎遠だった職員同士のコミュニケーションが取れるようになり、専門職者同士の関係性が良好に向かっていく期待が持てた。

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