雇用管理サポートシステム

事例No.512

○主な事業:有料老人ホーム ○法人形態:民間会社 ○地区:九州

取組の背景(相談内容)

 職員のキャリアパスを構築し、能力向上を更に進めていきたい。
施設が立ち上がって三年目となる。これまで職員の能力開発は、立ち上げ時の新人研修、1年目の定期研修(月1回開催)と行ってきた。人員が不足している中、何とか業務の合間を見つけながら研修を行ってきたが、2つの要素が見えてきた。

1.立ち上げ時、1年目と、基礎的な部分を中心に研修を行ったが、次のステップに進む時期に来ている。

2.研修を行い、定期的な能力開発を行ってきたが、受講する職員の姿勢に大きなばらつきがある。また、内部の能力開発が必ずしも雇用の定着に結びついていない。立ち上げからのスタッフは半分となっている。
 以上の課題を克服するべく、更なる研修の充実を行い、職員の能力開発と定着につなげていきたい。

取組の内容(支援内容)

 介護労働安定センターの支援を受け、下記の取り組みを行った。

1.職員の能力向上に取り組むに当たって、キャリア形成の明確な基準を設けることについて提案を受けた。どのような経験やキャリアを積めば、事業所内部で評価され、処遇やポジションが変化していくのか。労使双方が納得し、透明性のある方針がある事が、職員の能動的な能力向上につながることについて説明を受け、下記4つの段階的な指導を受け、改善に取り組んだ。

①厚生労働省が公開している職業能力評価基準(施設介護業)を基に、事業所独自のキャリア形成の方針を検討した。
②キャリア形成の作成支援を行っている、都道府県職業能力開発協会について紹介を受け、キャリア形成プランの作成に役立てることができた。
③キャリア形成プランに沿って研修を企画した。今年度は、「中級コース」と「資格取得コース」を行う事を決定した。
④労働局の教育訓練に係る助成金(キャリアアップ助成金・キャリア形成促進助成金)を活用して研修を行う事について提案を受けた。
 
2.研修の充実が必ずしも離職防止につながっていないという課題は、事業所にとっては切実である。研修をこれからも継続して行うことについて、管理者の意識は高い。その上で、離職に関する潜在的な要素が他に見当たらないか確認するために、研修企画と離職に関する部分を切り離して考えてみる事について提案を受けた。

取組の効果(改善点)

1.中級コース及び資格取得コースのキャリア形成が完成し、それを基に再度事業内職業能力開発計画を作り直した。最終的に、キャリア形成が明確に判断できる「教育訓練体系図」が完成した。事業所の研修を充実させるために、教育訓練助成金の「キャリアアップ助成金・キャリア形成促進助成金」を活用することとなった。

2.介護労働安定センターに定期研修(中級コース)の企画や講師の選定を行ってもらい、2つの研修を企画し「月1定期研修」を行うことができた。

3.離職に関して、今回の研修によって『予防』的な効果があったのかについてはこれからの検証が必要である。定期研修の企画運営者として研修時間に立ち会った時の受講者の様子をみると、業務の疲れが見られたり、研修中も時折業務に戻る職員が見受けられた。研修に集中できる体制は必ずしも整っているとは言い難く、一つの課題として、事業所管理者並びにセンター職員で共有し、今後の研修課題とした。
 また、『充実した研修を行っている事業所』として地域へのPRを積極的に行っていく事とした。地域がいい事業所と認めてくれる事で、経営に関しても、又職員の人材確保に関しても長い目で見ると効果が出てくると予想される。
 さっそく定期研修に、全国でも有名な講師を招いて研修を行ったが、その日は地域にも受講者を募った。チラシを作成し、地域の利用者家族や学校等に配布した所、研修会は盛況だった。