本文へスキップします。
20人以上50人未満 株式会社 九州

事例No.0546

1.取組の背景

この地域には訪問介護事業所が少なく、十分な在宅支援が提供できていなかった。報酬改定の影響で既存事業所の縮小・閉鎖が相次ぎ、サービス供給はさらに厳しくなっていた。
その結果、多くの要支援や要介護1・2の方々が通所サービスに頼り在宅生活を続けたが、状態が悪化するとすぐに施設入所となっていた。
訪問介護を希望しても受けられず、在宅生活の支援が行き届かないケースもあった。今後、高齢化の進展とヘルパー不足、利用希望者の増加が重なると、地域全体で在宅生活を支えられなくなるという危機感があった。

2.取組の内容

当社では、平成31年度より、紙媒体で行っていた訪問介護のスケジュール調整や記録・報告をアプリ化する取組を開始した。当時、県内で同様の事例は少なく、確認印の扱いや運用方法への不安があった。そのため、他県の先行事例を調査し、導入の根拠や安全性、法的な整合性を整理したうえで、関係行政機関に説明を行い、運用の必要性を正式に認められた。認可後は一定期間の試験運用を経て、全職員が問題なく使用できることを確認し導入した。

アプリ導入により、訪問先での入力内容が事業所とリアルタイムで共有され、サービス提供責任者や他職員が即時に確認・対応できるようになった。また、記録の書き忘れや引き継ぎ漏れ、情報伝達の遅延が減少し、支援の一貫性や安全性も高まった。これにより、ヘルパーが利用者との関わりにより多くの時間を割けるようになり、現場での気づきを生かしたケアの質向上にもつながっている。

当社の求人では、長時間勤務が難しいベテラン介護員の応募が多く、特に60代以上の職員にとってはアプリ操作が入職の障壁となる懸念があった。そこで、操作の簡単なタブレット端末の貸与、画面文字の拡大設定、職員同士のサポート体制づくりなどを行い、ICTに不慣れな職員でも安心して使用できる環境を整えた。その結果、幅広い年齢層の職員がスムーズに業務を遂行できるようになり、入職希望者の辞退防止や既存職員の負担軽減にも繋がっている。

さらに、コロナ禍で集合研修が制限された際にも、アプリ運用の経験があったため職員のICT活用への意識が高まり、研修用アプリや情報共有アプリの導入も円滑に進んだ。これにより、感染対策を徹底しながら継続的な教育・連携体制を維持し、日々の支援に確実に生かすことができた。

 

3.取組の効果(改善点)

当社では訪問介護のスケジュール調整や記録・報告をアプリ化した。訪問先での即時入力が可能となったことで、事務所への戻り作業、1日20分の移動時間と年間3,600枚(約18万円)の記録用紙を削減することができた。これにより、事務作業時間と経費の両方を削減し、職員が利用者支援により集中できる体制を整えることができた。
事務負担を軽減できたことは、限られた人員の中で継続的に支援を行なっていく環境の整備に役立った。利用者が住み慣れた地域で暮らし続けられる支援体制の確立にも寄与している。

この事例が当てはまる分野