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20人未満 社会福祉法人 北陸甲信越・東海

事例No.0542

1.取組の背景

当事業所では、社会貢献と持続可能な経営体制の強化という複合的な課題への対応を背景として、社会情勢の転換期においても地域から選ばれる施設であり続けるため、また、事業拡大を見据え中核となるリーダー人材を育成するため、①研修体系の構築と人材育成の体制を確立し、良い人材の確保と定着を目指していた。
次に、福祉現場の長年の課題でもあった、膨大な時間と労力を要する手書きの記録業務がケアへの集中を阻害している課題を解決する必要があった。そのために、②組織的なICT活用を推進する必要があった。さらに、迫りくる人材難に備え、生活困窮者など働きづらい状況にある方々に雇用機会や中間的就労を提供する③ユニバーサル就労を推進することを考えていた。これにより、就労者の社会的自立を支援するとともに、多様な人材の力を有効活用することで、有資格者が本来の専門的業務に専念できる職場環境の整備を図ろうとした。

2.取組の内容

○研修体系の構築と人材育成の体制確立
【経験・役職に応じた研修について】
 1)外部講師によるキャリア階層別「福祉プロ養成研修」を実施し、職員の資質向上を図った。
  ①キャリア階層研修
 ・職員のキャリアに応じて、新時代の経営環境に対応できる組織人財・福祉プロフェッショナル人財に必要な能力を開発する。
 ・組織人としての基礎研修・チームケア・組織運営、管理技術の習得・福祉のプロとしての倫理観・プロフェッショナルマインドを学ぶ。
  ②フォローアップ研修
  キャリア階層研修で学んだことを職場で実践し、その効果を全体で確認した。更なる業務改善に繋げられるように、各職場の全員参加による業務改善ミーティングを行い、実践力や課題解決力を向上させた。サービスの質向上と職員のスキルアップ、職場改善を図るため、外部講師と施設長がオブザーバーとして参加した。
 2)新人職員・中途採用職員の育成のために、プリセプター制度を導入し、介護技術習得支援とメンタルケアを行い、職場定着を図った。
【資格取得への支援について】 初任者研修、実務者研修の研修費を会社負担とした。
【キャリアパスについて】 
  目標管理や自己評価及び行動評価表を用いた定期面談(施設長と直属上司による)を実施した。
【外国人材の育成について】
  介護技術や日本語の習得状況に応じた個別育成計画を策定し、毎日面談と振り返りを実施した。
 ・利用者一覧、業務マニュアル、業務スケジュール表をわかりやすい日本語で記載した。
 ・看護師や理学療法士等の各専門職からの技術指導を行った。
 ・雇用条件についての理解促進や生活・心身面の健康を保つために、通訳を交えて本人、施設長、法人事務局、介護長、指導担当者、監理団体や登録支援機関の担当者が参加する面談会を実施した。

○組織的なICTの活用
【法人独自の介護記録システムの開発・導入について】
 ・利用者のより良い生活を実現するためには、職員間で利用者のすべての情報共有が必要であった。
 ・働きやすい職場づくりに向けて、記録業務の効率化を行い、超過勤務の削減を目指した。
 ・法人独自の介護記録システムの開発・導入を推進した。 
 ・利用者の情報を全職員が共有出来るよう、新介護記録システムには新たに「申し送り機能」を導入すると共に、介護記録+ケアプラン・モニタリング・アセスメント一体型システムを構築した。
 ・「ケアプラン・介護記録一体型システム」と「請求業務」「シフト管理」「人事・給与」を連動させたシステムの開発と構築を、システム会社の協力を得て目指した。
【ICT機器等の導入について】
 ・介護記録システムの導入により、書類作成を手書きからタブレットによる入力に変更した。
 ・インカムを導入し、職員間での情報の共有を迅速に行いながら介護サービスを提供できるようにした。

○ユニバーサル就労の推進
【ユニバーサル就労について】
・ユニバーサル就労とは生活保護、生活困窮者、障害者、病弱、ニート、引きこもり等で働く意欲があるのに働きづらい状況にある方など社会的支援が必要な人たちに、一定の配慮と支援をすることで働くことを促進する取組。
・平成17年からの当事業所の取組を実績として、平成25年度には市からの委託を受け、自立支援プログラム推進事業を立ち上げた。(市からの委託料は消耗品費、通信費等)
・自立支援プログラム推進事業では、生活保護受給者などに、当法人での雇用を通じて就労の機会を提供し、社会参加や経済的自立、地域社会の一員としての社会的自立や健康回復を目指した。
・当法人は平成29年5月に県の認定を受け、自立相談支援機関のあっせんに応じて就労者を支援する、生活困窮者就労訓練事業も実施してきた。
【ユニバーサル就労の実施内容】
・障害者や生活困窮者に対して、中間的就労から経済的自立まで、一人ひとりの状況に合わせて目標を設定している。
・本人の希望でいくつかの仕事を選択し、ボランティアからスタートして、個人の状況に応じて実費弁償程度での活動参加から、中間的就労、雇用(最低賃金補償)、一般賃金(有資格者)へと段階を踏んで進めている。
・本人の希望を聞きながら、仕事内容と就労時間、日数などを決めている。そして、法人職員が挨拶の仕方や心構え、職業倫理、業務手順などについて細やかな育成指導を行っている、就労の頻度は週1回2時間程度のボランティアから、週5回勤務までと幅広く対応している。

 

3.取組の効果(改善点)

取組内容①「研修体系の構築と人材育成の体制確立」
・離職率 平成30年8%➡令和4年0%
・入社1年目の定着率100%(平成28~令和5年採用者)
・入社3年目の定着率100%(平成25~令和5年採用者)
 
取組内容②「組織的なICTの活用」
・介護システムの導入で申し送り時間が80%以上削減となった。平成25年2時間➡令和5年20分  
・ケアプラン自動作成機能を利用することで、プラン作成時間を大幅に削減した。
 休日出勤(1か月平均)・・・平成29年2.7日➡令和5年0.5日 
・介護現場と事務局のシステム連動により、請求処理に係る時間を大幅に削減した。
 請求業務時間・・・・・・・・令和3年度3日➡令和5年度1日 

取組内容③「ユニバーサル就労の推進」
・仕事内容の細分化を行うことで、専門職の領域と生活支援・周辺業務領域を明確にし、ユニバーサル就労の実現につながった。 
・行政と自立支援機関をはじめとする関係機関や総合支援学校などと連携して、ユニバーサル就労(中間的就労や法人雇用)を継続的に推進することが出来た。
・結果としてユニバーサル就労者数は法人で延べ52名(平成17年~令和5年)となった。現在、法人全体で10名雇用(うち当事業所で1名雇用)している。
・ユニバーサル就労の推進が専門職員の雇用の安定にも繋がった。

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