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事例No.0531
1.取組の背景
サービス対象地域は市の中心地であり、ビジネス街、繁華街、住宅街、簡易宿泊所街などで構成されている。外国人居住者も急増し多様化が進んでおり、必要とされるサービスが多岐にわたるため、介護技術のみならず、コミュニケーション力、傾聴力が職員に求められる。
訪問介護事業所は、1人でサービスを担うため不安も大きい。人材定着のためには研修が重要であると考え、未経験者でも対応できるようにOJTやOFF-JT研修の充実が必要であった。事業所では30代から60代の従業員が正社員として働いているが、定着率も良い。入職後5年以上が3名、10年以上が10名在籍している。さらに事業所に定着し、長く働いてもらうにはどうしたらよいか模索していた。
2.取組の内容
職員定着のための人材育成
OJTは訪問介護にとって最も効果的な人材育成であるとして重きを置いている。特に異業種からの中途入職者は多くの不安を抱えている。サービスの難易度や利用者の特性に応じて、本人が自信を持つまで熟練スタッフであるサービス提供責任者が指導者として寄り添い、最大1ヶ月間利用者宅に同行して指導、アドバイスを行なっている。一方、OJTだけでは基本的な知識として学ぶべき領域を網羅できない可能性もあるため、介護労働安定センター本部の配信動画など、外部教育訓練機関が開催する講義型研修などOff-JT研修を併用した研修計画を策定した。
年一回の面談
面談を通して、組織の方向性や目標を再確認して意思統一を図っている。ヘルパーとして求められる姿勢、職務、職責、スキルを明確にして、客観的に自分の能力レベルがどの位置にあるのかを把握するため、また次のレベルに上がるために必要なスキルが何かを認識してもらう機会として面談を設けることにした。そして「利用者に向き合う姿勢」を軸として人事評価を行い、賞与に反映させている。
利用者別マニュアルの作成(有給休暇の取得促進)
在籍する4名のサービス責任提供者が、介護サービスの利用者支援において必要な内容や、サービスを受けるに至った背景などの情報をまとめた利用者別マニュアルを作成し、職員全員が閲覧できるようにしている。結果、職員がサポートしやすい状況が生まれ、有給休暇の取得がしやすくなった。
退職金制度の導入
結婚→子育て→老後という人生設計を考えた際、途中で離職してしまうのは残念でならない。働き続けていただくにはどうしたらよいか検討を重ねたが、当事業所は小規模で退職金の原資を自組織の経費から捻出することは難しい。いろいろ調べた上で、中小企業退職金共済(中退共)に加入することとした。長く働いていただき、退職を迎えた際に退職金があれば、老後の経済的不安も払拭できると考え、退職金制度の導入に踏み切った。
地域との連携
平成10年、地域の介護サービスの質の向上を目的とした事業者ネットワーク「かいごのWa!〇〇(地域名)」開設時に参加した。事業者ネットワークではケアマネ、在宅看護、訪問介護、通所介護、福祉用具の5部会を組織し、立ち上げの中核事業者として、事業者、個人、行政、その他関係機関と連携をとり、広報活動、情報収集、調査・研究、研修等の活動を行ってきた。会員数も徐々に増え、現在では123事業所を超えている。昨年度は区の高齢障害支援課と協働し「区におけるBCPについて」と題した研修会を実施した。他にも「2024年ダブル改定を踏まえた今後の介護保険の展望」や「福祉用具体験会」などの研修会を開催した。
3.取組の効果(改善点)
年一回の面談
面談は、直行・直帰が多い職員にとって、仕事やプライベートの悩みなどセンシティブな内容について相談できる機会にもなった。
利用者別マニュアルの作成(有給休暇の取得促進)
利用者別マニュアルを整備して職員全員に閲覧可能としたことから、担当者が急に休暇を取得することになっても、代わりの職員が訪問先情報を確認できることで不安が払拭された。利用者へのサービスの質の維持にも奏功した。これにより従業員の家庭の事情等による突発的な休暇取得へのうしろめたさが軽減し、有給休暇が取りやすくなった。
退職金制度の導入
従業員はシミュレーションによって退職金の受取額の算定ができるため、将来設計が容易となった。住宅ローンを利用して住宅を購入した従業員もおり、モチベーションとともに、会社への帰属意識が高められ、定着を促進した。
地域との連携
SNS(LINE)を活用して、利用者別にグループを作り、医師、看護師、ケアマネ等、多職種が参加して情報共有することとした。多職種連携が効果を生み、利用者に今まで以上の最適なサービスが提供できるようになった。