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20人未満 医療法人 北海道・東北

事例No.0524

1.取組の背景

 当法人は医療と福祉・介護が連携した施設として、訪問介護事業所のほか、クリニック、通所リハビリテーション、訪問リハビリテーション、訪問看護ステーションがある。地域住民に24時間・365日の安心が確保され、地域の皆様とコミュニケーションをとれる場として愛され、元気の出る施設となるよう思いやりのある施設の運営を目指していた。そのためには、職員の介護の質の向上を目指す必要があり、新人教育や既存の介護職員に対する評価方法、評価に基づいた介護職員の処遇改善を図ることで、モチベーションを保つ必要があった。また、職員を精神的にフォローすることにより、今いる職員に長く従事してもらうための相談体制を確立する必要があった。

2.取組の内容

(1)新人教育、Off-JT

 法人の理念から介護技術、接遇などの項目について細分化したチェックシートがあり、指導者がチェック結果を見ながら教育している。それぞれの項目について覚える期間の目安や目標を設定しており、進捗度を確認している。
 Off-JT(職場内研修)は、法人全体研修と事業所内研修(月に2項目を30分程度)がある。職員が講師を担当することで、その職員自身の理解度向上、理解しやすい説明方法や資料の作り方(ワード、エクセル、パワーポイント)の工夫などを身に付けることにつながっている。

(2)能力評価

 当法人は、能力評価の手法として、看護師などの教育制度で用いられるラダー評価票により半年に1回行っている。2段階評価となっており、主任とサービス提供責任者(2名)の3名により1回目の評価をし、これをもとに管理者が最終的な評価を実施している。評価はレベルが4段階あり、職員面談を通じて評価内容を伝えている。職員には介護職員処遇改善加算Ⅰによる一時金として年2回(7月、12月)支給しているが、ラダー評価のレベルによって支給額に差がつくようになっている。

<ラダーレベルの設定について>

① ラダーのレベルをⅠ~Ⅳとし、業務評価、経験値評価、教育(知識、研修、資格取得)別に小項目を設定する。
② レベルⅠについては、業務評価の達成率に応じて80%以上をレベル1A、70%以上80%未満を1B、70%未満を1Cにグループ分けする。
③ ラダーレベルの評価月は毎年5月、11月とする。
④ 業務の違いを考慮して事業所毎にラダーを設定するが、大幅な差異が生じないように、各事業所所長、施設長間で定期的に協議の場を設ける。

<評価の実施とフィードバック>

①アセッサー(評価する人)を務める者は、原則として「アセッサー講習を受講した者」とする。
②アセッシー(評価を受ける人)に対し、アセッサーを決定する。
③一般職は、介護主任が評価し所属長承認を得る。介護主任は、介護係長が評価し所属長承認を得る。介護係長は、所属長(他職種可)が評価する。
④各段階のアセッサーが不在もしくは不適切な場合は、所属長もしくは所属長が指名する者が評価する。
⑤アセッサーもしくは所属長は、各職員の評価結果のレベル及び評価要点を面接にて本人に伝え、それぞれの職員が伸ばすべき点を共有する。

(3)健康相談・健康管理

 運営している病院があり、心療内科医、臨床心理士によるメンタルヘルスに関する相談窓口を設置している。周知方法としては、職員通用口の掲示板に相談窓口の連絡先などを掲示している。誰がどのような相談をしたかについては、分からないようにしている。

3.取組の効果(改善点)

・法人全体研修と事業所内研修の講師を務める職員は、資料作成を工夫することで自分自身の知識の向上にも役立ち、介護職員として資質の向上にもつながっている。
・ラダー評価票による評価と介護職員処遇改善加算Ⅰの支給では、以下のような効果が見られた。
①ラダー評価により、自分はできていると思っているが客観的にみるとできていないことに気付き、技術能力の向上に役立っている。
②評価を一時金と結びつけることで、モチベーションアップにつながっている。
③5年ほど前までは離職率が高く年間4~5名が離職していたが、この1年では1名の離職にとどまっており、離職率が低減した。

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