本文へスキップします。
50人未満 株式会社 中国・四国

事例No.0520

取組の背景

代表者が、他県の訪問看護事業所での勤務経験を経て地元に戻ったとき、在宅サービスの普及率が低く、在宅で看れる地域資源が不足していることと、子育て世代が介護現場を離れることで、他の職員が意識の低い現場で働かざるを得ない状況にあることに気が付いた。このことから、子育て世代層が働きやすい在宅サービスの現場の需要を感じ、取組みを実施した。
また、福利厚生のひとつとしてサッカーチームを立ち上げ、クラブチームの運営も行っている。クラブチームの運営を通じて、転職先を探している選手やスタッフ、あるいはサッカーと仕事を両立させたい選手やスタッフがいることに気づいた。介護分野に関心のある人材の確保にもつながっている。

取組の内容

(1)子育て世代が働きやすい仕組み・職員が取組みたいことを仕事に活かす仕組みづくり

柔軟な時間数で働けること、職員がやりたいことをビジネス化する取組みを行っている。
「職員が何をしたいか」を聞き、職員第一主義を掲げている。仕事に人を当てはめるのではなく、その人がやりたいことをビジネス化することを目指している。他にも、職員の本音がすぐに上司に伝えられる環境づくりとして、上司が職員の事を深く知り、本音で付き合える環境を目指している。
サッカーチームを作りたいと考える職員に対しては、クラブ運営を行い、サッカーをしながら福祉の仕事をできるようにするとともに、介護士を育成し、人材不足解消につなげることも行っている。
例:セミプロの場合、1日にサッカー4時間と介護業務4時間

(2)人材育成への取組み

在宅サービスの仕事のハードルの高さを考慮し、研修機関的な役割も含む施設を開設している。介護度が高く医療行為が必要な人が低料金で入れる施設に需要があると感じて開設した。(ナーシングホームで医療依存度の高い方に対応する施設)。その施設で新入社員が看護師や作業療法士と間近で働くことで、1年で10年並みの経験を積むことができるようにし、人材育成につなげている。
当初は仕事ありきで人材確保をしたため、職員第一主義の社風とのミスマッチが起こった。切り替える事に苦労はしたものの、職員の本音を尊重する方針を徹底することで、社員の満足度を高めることができ、離職防止に繋がっている。

取組の効果(改善点)

(1)人材確保への効果

スポーツをしている人材の確保に注力している。潜在的に福祉の仕事への欲求を持つ人々が集まってきている。働きやすい職場との噂が広がり、志の高いベテラン職員が流入するようになった。
昨年は新卒1人、今年は高卒3人の採用に成功し、中途採用でも20人から30人の採用を行うことができた。去年採用の30人全員が正社員登用である。現在、グループ全体で職員数は180人で、平均年齢は30代である。
この取組により介護業界の人手不足問題とサッカー業界のセカンドキャリア問題を解決する一つの手段となっている。
年功序列がなく、多様な働き方を受け入れる土壌があることも若い方に合っていると思われる。

(2)他分野・他事業との融合

 

職員第一主義を掲げてきたことで、マネジメント能力の高い柔軟な職員が増えている。
職員が介護の仕事とスポーツを両立することで、生産性向上につながっている。サッカー選手が介護をすることで利用者が試合に興味を持ち、外出のきっかけとなっているなど、サッカーと介護の融合という創意工夫が功を奏している。異文化交流があることで、新しい発想が生まれている。
さらに、福祉、スポーツ、不動産の3つの軸を活かして、売り上げを確保している。その成果が職員のモチベーションの維持と定着にもつながり、設立から12年の間に社員150名増員に対して、離職は年間2名から3名程度である。
そして、グループ従業員が中心となって設立したサッカーチームと連携し、スポーツ活動を通じて市を盛り上げている。地元企業との協力で、地域の子どもたち向けのイベントを開催したり、学校への寄付や寄贈などを通して教育支援を行い、社会・地域の発展に貢献している。これら全体としての活動が、事業所の知名度を上げ、人材確保にもつながっている。

この事例が当てはまる分野