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50人以上 株式会社 北陸甲信越・東海

事例No.0511

取組の背景

平成11年(1999年)に創業し、近年は既存の訪問介護を中心にしつつ、新たに数か所の有料老人ホームを展開し、事業全体の拡充を行っている。

事業を展開する上で、最大の課題は「介護人材の確保」である。県の介護労働実態調査結果(訪問介護職員の不足感81.3%)や労働局からの求人情報(R3.9月介護関連求人倍率5.45倍)においても人手不足は深刻で、現在まで長引く新型コロナ感染症が更に追い打ちをかけている状況となっている。

そうした中、令和2年度から、人材確保のための手段として介護職員の高齢者継続雇用の見直しと、それに伴う人事評価制度の構築および職場環境整備を推進することになった。全介護職員のうち、60歳以上の職員が28.3%(内70歳以上16.7%)と高い割合になっている事と、労働力人口の減少により新規採用が思うように進まない事等により、人材確保のためには雇用延長が必要不可欠となっている状況であった。ただ雇用延長するだけでは、高齢職員の体力的な問題やモチベーション維持も難しく、職場環境の整備が急務と判断し、労働者に合わせた制度設計を推進した。その結果として柔軟な働き方、それぞれの職種に応じた評価制度等が構築され、年齢という括りではなく、働く意欲、仕事に対する熱意を反映した働き方が可能となった。

取組の内容

令和2年(2020年)10月より以下について運用を開始した。

①希望者全員を70歳までの継続雇用とし、賃金制度も一部改定した。
・これまで雇用延長を65歳までとしていたが、これを改定し、同じ仕事であれば賃金を維持できるよう賃金条件を維持しつつ70歳まで延長した。

②70歳を超える場合は、一定の条件のもと年齢の上限を無くして雇用する。
・原則フルタイム勤務としているが、本人が申し出た場合は、短時間勤務や短日勤務を可能とした。

③継続雇用の改正に合わせて、新たな人事評価制度を導入する。
・職員の意見を聞き役員会議等で検討しながら、約1年を掛けて自社オリジナルの人事評価制度を策定した。本人評価、上司評価、評価面談を実施する。

④高齢従業員を手本とした人材育成
・高齢職員の高いスキルとノウハウを継承するため、指導時には新人職員と共に勤務して貰い、マニュアル化出来ないスキルを伝えていく工夫をしてる。

取組の効果(改善点)

①70歳までの継続雇用について、賃金制度も同時に改定したこともあり、定年で退職する職員は減少した。継続雇用の職員のモチベーションも向上しており、若手の職員の模範となる意識がより強くなってきている。

②70歳以降の雇用については、時短勤務も認めていることから働きたいとする職員が多数であり、結果、人材確保に繋がるとともに、最高齢は82歳の女性職員であるが無理なく勤務できている。

③新たな人事評価制度は、職員の意見を取り入れたこともあり、職員個々の励みに繋がるとともに、経営理念「優れた見識と豊かな心で、活力とゆとりのある人間社会の構築に資する人材育成と事業の実現に貢献する」の実現へ職員のベクトルが向いている。

④高齢職員を手本とした人材育成について、今回は高齢職員への配慮を中心に雇用管理制度の改善や環境の整備に取組んできたところであるが、結果として若手職員を含め多くの職員が働きやすい職場となり技術の継承も進むことに繋がった。

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