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50人以上 社会福祉協議会 九州

事例No.0505

取組の背景

  • 当該訪問介護事業所は登録ヘルパー(以下、職員という)55名で約200名の利用者にサービスを提供している。職員は50代、60代の方が多く、その中には持病で通院している人もおり、職員の新型コロナウイルスの感染リスクが大変心配であった。
  • 職員がフェイスシールド等の防具を着用することに拒否感を示す利用者がいる等、職員から訪問時の不安について相談があがっていた。一方で感染リスクに対する認識の温度差があった。
  • 事業所の感染対策方針をどのように全職員に同時に伝えて認識を統一するかについても課題であった。
  • 新型コロナウイルス感染症拡大が収まらない中、事業所として利用者と職員を守るためどのような対策をとればいいのか、何が正しい情報なのかわからないまま試行錯誤をしていた。

取組の内容

1.方針の決定と意識の統一

限られた情報の中から感染対策の方針を決定。状況の変化に応じて、訪問時の手順や利用者の体調に変化があった場合の対応方法について職員と利用者に周知した。国や県から情報収集も随時行い、最新情報の入手に努め、職員が安心して自信を持って職務にあたれるようサポートを行った。

・職員への対応

訪問時の感染対策の手順を周知した。周知方法は文書は個人ボックスへ、メールでは内容を一斉送信し情報を知るタイミングに時差が出ないよう配慮した。感染拡大の状況に応じ、外出や外食の自粛など職員の私生活における行動について、法人としての指針を設けた。

・利用者への対応

事業所の感染対策について文書で案内し、責任者が理解を求めて個別に説明を行った。防護具を職員が着用することに拒否感を示す方には、責任者がその必要性について丁寧に説明を行い理解してもらった。

2.訪問時の感染不安解消のために

  • 訪問時使用する為に非接触型の体温計等を購入。
  • 職員に個人防護具一式、医療用サージカルマスクを支給。N95マスクは事業所で保管。
  • 県の事業を活用し、職員全員がPCR検査を受けられるよう申請。

3.介護労働安定センターのヘルスカウンセラー相談で「感染症」の集団型相談を実施。その際、法人の局長が「ありがとう」のメッセージカードを付けた飲み物を差し入れし、日々感染対策を含め業務にあたる職員を労った。

<その他>

4.手当について

インフルエンザ等感染症と診断された利用者にサービスを提供する際は、危険手当(1件500円)、また私有車両を使用して訪問した場合、1件あたり30円支給している。

5.勤務時間について

ヘルパーが希望する多様な就業形態を認めている。

取組の効果(改善点)

  1. 事業所が決めた感染対策を実行できるよう職員への周知と教育を行い、利用者にも理解していただくための後押しを事業所が行ったので職員が安心して訪問できている。「感染状況が収まるまで」休暇を希望していた職員も復帰しており、職員の不安にも迅速に対応しているので、職員と事業所の間の信頼関係ができている。  
  2. 感染症に関する正しい知識を得て認識が統一され、より効果的に感染対策ができるようになっている。
  3. 当該事業所は給与や手当等処遇面も手厚く、人間関係も良いので職員の定着もよい。60歳で定年退職した職員が登録ヘルパーとして働いている。コロナ禍においても退職者は出ていない。
  4. 新しい人材も求人情報からではなく、口コミや人との繋がりからも確保できている。ヘルパー2名、サービス提供責任者1名を新規に採用した。コロナ禍においても自主学習で学べ良い職場だと好評価である。
  5. 事業所として従業員の個々の働き方について柔軟に対応できていること、コロナ禍でも学ぶ方法を工夫していること、普段から他の事業所の方とも良い関係を築いていたことが人材の確保に繋がったといえる。

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