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20人未満 株式会社 関東

事例No.0501

取組の背景

当事業所は、障害福祉の居宅介護指定を令和元年12月、同じく同行援助指定と高齢介護の訪問介護指定を令和2年2月に受けて介護事業をスタートした。
実質的な創業者である管理者は、自ら介護職員として働いていた時に長時間労働を強いられる等の苦労をした経験から、自身は労務管理を適正化し職員が働きやすい事業所にしたいとの思いがあった。
介護労働安定センターの雇用管理コンサルタント相談を受けて開業の当初から処遇改善加算取得やキャリアップ助成金、コロナ禍での雇用調整助成金、緊急包括支援事業補助金等の職員の雇用管理面改善のための助成金や補助金制度の活用に積極的に取り組んだ。

取組の内容

①賃金改善
処遇改善加算の取得とパート職員の正規転換などを見据えたキャリアアップ助成金の計画書作成に着手した。処遇改善加算Ⅰ取得要件であるキャリアパスの構築、職員の資格取得支援、それらに応じた昇給制度を構築した。処遇改善加算金は、正規・非正規職員を問わず介護サービスの業務時間に応じて公平に配分している。

②労務環境改善
コロナによる緊急事態宣言を受け、職員の感染防止の為、通勤・利用者宅訪問時の電車・バスの利用を止め、車・バイク・自転車に切替えた。この際、業務用にバイクを購入した他、車を使えない職員に対しては他の職員との乗り合い・送迎をする等の対応を行った。また、事情等で出勤ができなくなった職員に対しては、雇用調整助成金・小学校休業等対応助成金等の助成金を活用し、休業手当を支払う等して生活支援を行った。

③スキルアップ支援とモチベーション向上
若い非正規職員に対して、自らの能力の幅を広げて給与を上げていくことが重要であることを常に説明している。スキルアップのための研修受講や資格試験の受験等は、業務時間として扱って賃金を支払っている。必要な費用は、会社が負担する等の支援制度を整えた。

④職場環境づくり
職員のコミュニケーション向上を目的として、月1回の職員ミーティングの後、近くの店を借りて食事会を催し、皆が互いに仕事への悩みや課題等を自由に話せる場となっている(現在はコロナ禍で開催が難しくなっている。)
また、事務所には誰でも自由に飲食できる飲み物等を常備し、職員が仕事の途中でも気軽に立ち寄って憩える場所にしている。また管理者は、職員に対して一方的に注意するのではなく、よく事情を聴きどうしたら改善できるかを話し合う等、前向きな姿勢で接するよう常に心がけている。

⑤利用者増加に繋がる工夫
職員に労働負担がかからず、且つ利用者に満足していただけるようなサービス内容を提案している。これにより、利用者や地域のケアマネジャー、計画相談員らの信頼を得ると同時に、職員のスキルアップ向上にも繋げている。

取組の効果(改善点)

コロナ禍で多くの事業所が利用者の減少、職員の離職に追い込まれる中、個々の職員事情に応じた賃金・労務環境改善、スキルアップ支援、職場環境づくり等の労務対策によって、職員の口コミで次々に外部から人が集まってきた。事業所開設から1年が経過して、職員数も2倍以上に増えた。年齢も10代から70代まで幅広く、特に10代、20代の若者が入職してくるようになった。一方で、サービスに対する評判が地域のケアマネジャーや計画相談員の横の繋がりで拡がり、職員の増加に対応する形で利用者数も順調に増えている。
今は管理者が一人で切り盛りしている状況であるが、これからは事業所の管理を任せられる有望な職員の育成に重点を置くと共に、将来は就労支援等の新たなサービスの拡大も視野に入れている。

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