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20人未満 株式会社 北海道・東北

事例No.0498

取組の背景

新規事業所である当該事業所を含め同エリアには同法人の小規模多機能事業所が3つあり、一人の管理者がエリア管理者を兼任しマネジメントを始めたところであった。労務管理や人事評価制度(評価・面談・フィードバック)、管理者育成について問題意識が高まっていたところに、介護労働安定センターから県労働局委託事業を紹介された。そのことが支援を受けること、取組の実施につながった。

取組の内容

はじめに、課題の確認と現状の把握を行った。

  • ①労務管理 主に人材確保が不十分であるという課題があった。退職する職員もおり、離職防止になればと職員間で毎日交換日記をつけ情報の共有を行い、コミュニケーション不足の解消に努めていた。
  • ②人事評価制度 目標管理シートと業務達成度確認表があり、年2回評価を実施し賞与に反映していた。個人目標の記述が曖昧なことによる評価の困難性や言いづらいことのフィードバックが課題だった。また、評価反映後の賞与に対する不満もあった。
  • ③管理者育成 新規事業所の立ち上げに際し管理者が必要となるが、「管理者にはなりたくない」との風土があり、なかなか次世代のリーダーが育たないという課題があった。

~以下、具体的な取り組み内容(労働局委託事業の提案を受けての取組み)~

①「メンター制度」の実施(離職防止・健康確保策として、職員の良き理解者となる先輩をつくる)
メンター制度の意義・目的、導入する場合のマニュアル・研修、制度のメリットとデメリットについて学び、翌月の定例会議にて「メンター制度導入について」の勉強会を実施した。勉強会実施後に一人の新入職員に対し実践した。その後もメンター制度の活用を続け、現在は特に新規事業所にて、メンター制度に近い形での新人育成に取り組んでいる。

②1on1ミーティング(面談)の実施
管理者と事業所職員に対し面談で①雑談と健康確認②観察と承認(日頃の業務についての称賛等)③主な課題とその傾聴④振り返りと今後のアクションの4つを実施。
また、評価の適切性を担保するために、目標設定における言語の共通認識と具体性を共有し、賞与については賃金規程に明確に定義する等「ルールの見える化」を図った。

③管理者候補に対するキャリア形成の支援
法人内の課長以上の役職者で作られている執行部(10名程)で人材育成や研修内容について検討している。年に2回、管理者候補の研修は年度を跨いで継続的な計画で実施している。業務における経験や技能について評価ランクがまだ低い職員でも「上を目指したい」という意識をもっている職員を法人内で管理者に育てていく仕組みを作った。
また、管理者のメリット(報酬や自己成長)ややりがい、やりがいへの動機づけ、評価のスキルや面談力の育成が必要であることについて丁寧に説明を行った。管理者になることに対する不安の除去にも努めた。

取組の効果(改善点)

①メンター制度を導入し、職員間のコミュニケーション改善や新入職員の不安を取り除き安心して業務に取り組むことができる環境を整えたことで、新入職員が定着し、離職防止に繋がっている。メンター制度のスタートとなった職員は、1カ月ほどで日勤を1人でこなせるようになり、短期間で即戦力となった。また、メンター制度について等の勉強会を実施したことで、管理者を含め他の職員が、新人育成時に必要な視点や考え方を知り実践できるようになった。このことも入職後短期間での離職の防止につながっている。

②面談の頻度や内容の重要性を再確認できたことにより、管理者や職員とのコミュニケーションが円滑になり、思っていることを話してくれるようになった。職員との信頼関係が醸成され、管理者からの指針や指示が出しやすくなった。評価の実施は言いづらいことも伝えられるようになった。職場の人間関係等の問題が発生した際には、管理者層が状況を早期把握することが可能となり、事業所間の異動等で対応できている。異動については、成長支援の一環であることを職員に説明し、職員の心身の健康の保持に努めている。その後、当該エリア(3事業所)での退職者はなく、離職者0名が続いている状態である。

③現在、次世代のリーダーが管理者として働いている。管理者の右腕を担っている職員もいる。事業所全体で課題の改善に取り組んだことで、次の世代のモチベーションアップにも繋がり、職員全体で助け合う風土がつくられてきており、人材の定着に繋がっている。

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