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50人以上 株式会社 北海道・東北

事例No.0497

取組の背景

株式会社の訪問介護事業所を運営している代表が、父親が代表を務めるNPO法人の訪問介護事業所を継承することになった。引き継いだ事業所は訪問介護員の高齢化と人材不足、それに伴い会社全体の士気が下がっており経営状態は悪く赤字が続いていた。このままでは職員の雇用も守れず、地域で最も必要とされている訪問介護サービスを続けることができないと判断し、NPO法人を解散し株式会社へ事業継承することを決めた。
NPOの解散にあたっては、説明会を実施したり、代表が個々に面談を行い丁寧に説明をし、元々の退職予定者以外は全員継続雇用に至った。しかし、元々運営していた事業所の収支を含めた運営状況は安定していたため、旧NPO法人の事業所との賃金格差が生じていた。また、旧NPO法人はアナログ主体の業務体制だったため、ICT化の推進と新しい人員の採用を試みたが、新たな取り組みへの拒否反応が変革を拒んでいた。

取組の内容

元々の株式会社の事業所は既にICT化が進んでおり、更に若い職員が多く勢いがあり、収入も安定していたことから、2つの事業所の統合を検討した。
安定した事業運営と働きやすい職場を目指し、人員定着と経費削減および業務効率化を図るため、介護労働安定センターの雇用管理コンサルタント相談も活用し、以下の内容に取り組んだ。

①就業規則と賃金形態の見直し
・労働時間や休日の決定方法 ・賃金の決定方法 ・キャリアパスの再構築 ・評価制度

②ICTの導入
・管理者はPC、タブレットでの勤怠管理を行う
・スマートフォンを支給しチャットツール等SNSの活用で情報共有をしやすくした

③業務内容の見直し
その他、代表自身が職員1人ずつと面談を行なって丁寧に説明したり、直接連絡が取れるよう携帯電話番号を教え職員からの質問にすぐ答えられるようにし、職員が不安にならないよう配慮した。

取組の効果(改善点)

  • 事業の継承前は2事業所に管理者、副管理者が各1人ずつ計4名いたが、事業所を統合したことにより各1名ずつ計2名にすることができ、人件費の削減ができた。なお、人員減は定年退職によるものである。
  • 2事業所に在籍していた職員(ヘルパー)を1事業所にしたことで仕事の割り振りの融通が利くようになった。
  • 体制が整ったことで、3名の新たな人材が採用できた。
  • 旧NPO法人では冬季賞与の支給ができていなかったが、統合後には全職員に冬季賞与を支給できた。
  • 就業規則と賃金形態の統一により、キャリアアップの見通しやそのルールを明確化でき、旧事業所間には存在した格差を是正することができた。

待遇改善と職員の負担軽減が実現され、コミュニケーションも格段に良くなり、職場の雰囲気が明るくなったことで、離職者はいない。その影響も相まって新規利用者数も伸びている。

職員それぞれの状況や思いに配慮し、一人一人と丁寧に話をすることで離職防止に繋がり、ひいてはサービスの向上、売り上げの増加に繋がった。

なお、事業所の統合には、ご利用者様への配慮と職員に理解してもらう取り組みや時間を要したため、1年2か月を要した。

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