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20人未満 有限会社 北海道・東北

事例No.0484

取組の背景

取組の経緯は次の通りである。事業主自身が長く介護の現場の第一線にいたので、現場の知識はあるものの、経営に関する知識や経営感覚がほとんどなかった。今までの経験を基にしたトップダウンの経営手法を取っていた。

一方、職場では日々の業務に追われ、経営数値の職員への開示・共有の遅れ、経営理念・経営方針の未徹底、効果的な研修計画の未整備、社内表彰制度の未整備が課題となっていた。計画的な有給休暇の取得も実施できなかった。

また、事業主と職員の個人面談が実施できておらず、事業主の理念や意図が、職員に理解・浸透していなかった。職員の勤務時間を1か月の変形労働時間制に移行するタイミングで、これまで山積していた課題の解決に取り組む必要があった。

取組の内容

各種制度の整備や確立を検討していたところ、労働局の委託事業の相談を利用し、チェック&DOでの点検を勧められ実施した。調査結果の概要は以下となった。

  • 労務管理・職場環境:職員と事業主のかい離が少なかった。有給休暇の取得推進、福利厚生面の整備等で見られるかい離は事業主の過小評価によるものと思われる。
  • 評価・報酬:職員と事業主のかい離が最も大きい。評価のフィードバックのかい離が最も大きい。
  • 人材育成:キャリア支援・アドバイスにおいてかい離が認められる。 ・法人・事業主の風土:自由に意見を言える風土、新しいアイデアを取り入れる風土においてかい離がみられる。

上記を踏まえて、以下に取り組んだ。

  • 評価制度については、全職員が参加して、月に1回の朝の会議、3カ月に1回の全体会議、情報共有の相談会(それぞれ1日6~7時間程度)、また年2回の個人面談を実施、継続化させた。相談会や個人面談は今どんな利用者を担当しているか、困りごとはあるかといった情報を確認・共有するとともに、目標の再確認の場としている。その他、職員の満足度調査を実施した。
  • 目標チャレンジシートを作成し、どういう職員になりたいか、経営理念に合致した長期の「年間目標」、「達成のための具体的な施策」、5W1Hで日常の職務に関連した短期的な「毎月の目標」を職員に記入させる。毎月の朝会議で自己評価を記入する。年2回の個人面談で事業主の評価を仰ぐ。
  • 事業主を含む全職員が、1年間の目標(何のために働いているか?、そのために何をするのか?)を明記した自己紹介シートを事業所内の壁に貼り付け、常に確認できるようにした。
  • 働き方改革について率先して取り組むため、有給休暇の所得を職員に促した。福利厚生の制度拡充については、未着手だが、今後着手していく予定。
  • 法人の風土に関しては、事業主が職員全員に経営理念に沿って、主体的に業務に取り組めるよう促している。定期的な全体会議や個人面談を通して、経営理念を共有する。
  • 経営の勉強をするため、県の中小企業同友会に入会し、経営についての知識の研さんを積む他、人的ネットワークを開拓した。

取組の効果(改善点)

有給休暇所得に関しては、全職員がシフトを調整しながら、積極的に取得する意識が芽生えた。事業主自身も率先して取得している。経験交流会で事業所の各種取り組みを発表したが、小さい事業所ながらも職員全員が前向きに取り組んでいる点について反響があり、取組についてぜひ参考にしたいとの声をいただいた。

また会議や個人面談を通して、事業主自身が考える現場での理想の姿勢が職員に伝わるようになった。反対に事業主が、業務上でのフォローをしてくれることもあり、職員に恵まれてよかったと感じる。事業主が掲げる"10年ビジョン"遂行のために、職員から現場の目線を事業主にフィードバックしてもらえるようになった。

同時に全職員に経営理念が浸透した。職員の新規採用の際、経営指針書を見せて面接できるようになった。社員の満足度調査の結果、満足度が高くなった。職員が参加したい外部研修について、職員自身が年間計画・行動計画を作成して研修に参加してくれるようになった。社内表彰制度については、職員全員がアンケートによって推薦し、全職員が一致した意見で表彰者を選ぶ形式とした。その結果、職員の士気が向上すると共に、職員間のコミュニケーションが活発になった。

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