1 採用管理・定着管理について
1 採用管理・定着管理について
<現状と課題>
介護サービスの需要は、今後質・量ともますます拡大することから、介護人材を将来にわたって安定的に確保し、定着育成を図っていくことが求められているが、介護事業所においては、人材募集を行ってもなかなか充足しないことや労働環境が厳しいこと、介護という職業について理解が進んでいないこと等を背景として慢性的な人手不足が続いている状況である。
また、離職者のうち約8割が3年未満であることなど、せっかく介護分野へ就職しても定着しない状況であり、事業所においては、人材の育成やレベルの高いサービスの提供の妨げになっているという問題点もあり、採用と定着については密接な関連がある。
<基本的な考え方及び対策実践例>
【採用管理】
1 募集・採用について
→ 募集採用にあたっては、ホームページや地域の広報誌等を活用しつつ、採用につながるような広報活動を展開するほか、内容としては、介護施設における具体的な職務内容や資格要件の有無、労働条件等を明確に示すことや将来展望が図られるようなキャリアパスを明記することなどが有効である。また、未経験者など従来募集していなかった層を対象として求人を行うなど、対象範囲の拡大についても考慮すべきである。
《実践例》
・他法人との連携による求人案内、養成校に対する就職案内の実施(東京:特養)【事例№10】
・PC、携帯サイト等による募集媒体の多角化(東京:特養)【事例№88】
・実践型人材養成システムによる無資格者雇用への取組(東京:老健)【事例№122】
・IT広報委員会を設置し、自社ホームページを開設し、求人情報を掲載(東京:老健)【事例№83】
・定年引き上げにより、60歳代高齢者の積極的な採用(岐阜:有料)【事例№19】
2 面接時における説明
→ 施設における経営理念やケア理念については、採用面接時やオリエンテーションの際に求職者に対して明確に説明するほか、労働条件等についても本人の希望を尋ねたり、実際の介護現場の職場体験や職員の意見を聴くなどにより、求職者の就労ニーズとのミスマッチを防ぐことが有効である。
《実践例》
・求職者の労働条件等の意向をヒアリング(山形:特養、奈良:老健)【事例№31,事例№100】
・キャリアや働き方について希望を把握し人事管理に活用(山形:療養)【事例№125】
・内定者を対象としたオリエンテーションの実施(東京:特養)【事例№11】
・勤務形態等、本人の意向を面接時に聴取(福岡:老健)【事例№68】
・職員採用時に全職員共通のオリエンテーションを実施(福岡:特養)【事例№84】
3 介護という職業に対する理解
→ 養成施設や高校等との連携による実習受け入れ、職場見学会や職場体験、ボランティアの受け入れ、施設のガイダンス等、仕事としての魅力・理解を促進させる実践的な手法により、採用契機になるような多様な機会の創出が有効である。
《実践例》
・施設就職ガイダンスの実施、養成校からの実習生受け入れ、宿泊体験学習会の実施(山形:特養)【事例№109】
・施設見学会の実施、福祉系大学への出張講演(東京:特養)【事例№10】
・就職希望者に対して、面接のほか職場体験を実施(岐阜:特養)【事例№3】
・ヘルパー2級講習を開講し、受講者に対して就職あっせん(奈良:特養)【事例№77】
・採用前ボランティアの受け入れ(奈良:特養)【事例№39】
・採用試験前の施設見学会の実施(奈良:老健)【事例№100】
・養成施設、ヘルパー養成校からの実習生受け入れ(広島:療養)【事例№22】
・実習、見学、体験学習等の実施(福岡:療養)【事例№53】
【定着管理】
1 コミュニケーションの円滑化
→ 介護現場においては、仕事に対する不安・不満等から仕事への意欲ややりがいを喪失し、離職を余儀なくされてしまう場合が多い。
そこで、施設長や職場のリーダー等によるケア理念の浸透に加え、利用者・入居者のケアにかかわる職種を超えた十分な意見交換(カンファレンス)、職場全体の課題についての意見交換、職員の仕事のやり方・キャリア・労働条件などにかかわる面談機会を設けるなど、コミュニケーションの充実が重要である。
このため、職場内の交流を深め、コミュニケーションの円滑化を図ることが早期離職者の防止、定着促進の方策として有効である。
《実践例》
・採用後、定期的に面談(山形:特養ほか)【事例№31など】
・自己評価票により事務長と面談(山形:老健)【事例№82】
・マイスター制度と称するコミュニケーションの実施(山形:有料)【事例№18】
・経営トップへの意見や提案等によるコミュニケーションの実施(東京:特養)【事例№76】
・意見箱を設置し、職員の声を聴取(東京:特養)【事例№11】
・親睦会等の活用によるコミュニケーションの実施(東京:特養)【事例№89】
・自己申告制度の隔年実施によるコミュニケーション管理(広島:特養)【事例№78】
・現状把握のためのアンケートの実施(福岡:老健)【事例№67】
・現場責任者に社会福祉士等の資格取得者を配置しコミュニケーション管理(福岡:特養)【事例№79】
2 新人従事者に対する教育・相談
→ 入職時において、如何にしてスムーズに介護現場を理解し、各施設毎の介護サービスの特徴に慣れるかが職場定着のための課題となるが、そのためには、採用後において、配属された管理者等が新人従事者に対して行う教育・相談等のフォローアップが有効である。
《実践例》
・年間を通じて担当職員が指導及び相談担当となる(山形:特養)【事例№31】
・新人の教育係であるプリセプター制度の導入(東京:特養)【事例№83】
・リーダー職員によるOJTの実施(東京:特養)【事例№11】
・新規採用職員に対するエルダー制度(先輩職員による教育等)の導入(奈良:特養)【事例№93】
・指導員制度を導入し、定期的に評価・報告(広島:特養)【事例№41】
・新人教育マニュアルによる育成(福岡:老健)【事例№67】