本文へスキップします。
グループホーム 民間会社 北海道・東北

事例No.0568

取組の背景

スタッフの誕生日には特別有給休暇、家族の誕生日や結婚記念日などには公休が取れる。また、1泊の職員旅行、3ヶ月に1度の飲み会、小さい子供がいるスタッフには会社主催でコテージにてキャンプ等、スタッフが定着する環境づくりに取り組んできた。

しかし「仕事ができないあの人と同じ給料なんて・・・」との不満が一部の職員より漏れ始めた。給与体系は給与等級が5段階しかなく、給与が上がるのは最低賃金が上がるか資格を取得するか、役職が付いたときだけであった。また、仕事に対する明確な評価基準もなかった。

それまで退職したスタッフの退職理由は不明だが、年に数名は退職者がいた。せっかく仕事に慣れてきたスタッフが退職する事は、利用者様にとってはなじみの人がいなくなる事である。利用者様が寂しさや不安感を招いたり、ご家族様の信頼を失うことにつながる。また、スタッフ間の連携が取りにくくなり介護力の低下に繋がっていた。

このような背景の中、スタッフが定着して働いてくれるにはどうしたら良いのかを考え始めるスタッフが出てきた。会社代表に相談したところ、「その考えは素晴らしい。ぜひ、皆さんで様々な方向から取り組んで欲しい。」との回答があった。

そこで、働き方や給与について考えてみたいと思っている正職員2名とパート職員2名(会社の経営陣を入れず)で処遇検討委員会を設立した。

取組の内容

まず、職員に「働きやすい環境」についてのアンケートを実施した。「今後もここで働き続けたいか」の問いに、2割程度しか「ここで働きたい」との回答がない結果となった。

この結果を受け、処遇検討委員会ではそれまで4週6休で週37.5時間の勤務体系を週休2日制で週40時間の勤務体系へとシフトの見直しをした。

また、従来の7時間勤務を希望する方には7時間勤務でも勤務可能なシフトとした。

この他、給与等級の見直しを行い、それに伴い基本給の見直し案の策定、役職手当の見直し案の策定、職務手当の廃止案の策定や職員の評価表の策定を行った。

処遇検討委員会は9カ月かけ6回の委員会を開催。メンバーは労働基準法や税金関係・社会保険・労働保険についての知識が乏しく苦労した面も多々あった。

取組の効果(改善点)

処遇検討委員会で検討した勤務体系の見直し案・給与体系の見直し案・評価表について法人に提出したところ、全て承諾・施行され、給与のベースアップとなった。

更に法人からの提案で、子供手当・住宅手当の新設、賞与は冬期と期末の2回から夏期を含めた3回への変更、退職金制度の確立が実施された。

その他、スタッフ間の連携強化を目的とした食事会には法人から1万円の助成が出る事になった。

こうした取り組みの結果、1名を除いて退職者はおらず、現在2ユニットのグループホームで24名のスタッフがいる。

処遇検討委員会とのやりとりを通して法人代表との間には強固な信頼関係が構築された。「このような処遇改善を考える機会を与えてくれた法人に対し感謝している」との言葉もあり、スタッフのやりがいと定着につながった。

この事例が当てはまる分野