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20人未満 株式会社 九州

事例No.0514

取組の背景

◆昨今の社会全体での人材不足の波を受け、介護職の募集は喫緊の課題となっていた。また、今後の発展的な事業継続のためにも幅広い年齢の人材を募集する必要があった。同時に、地域の若者には職が無く働きたくても地元で働くことができない現状がある。一方、訪問介護等の在宅ケア分野では働き手が無く、スタッフの平均年齢が高齢になってきているという現状を把握していた。

◆既に地域にいる数少ない介護職の人材を他事業所と奪い合うよりも、介護職の就労人口の母数を増やす事自体が何よりの地域貢献であり、若者には職が無い一方で事業所では職員が高年齢化しているという問題を改善する手立てになればという考えのもと、様々な策を講じた。

◆介護職の就労人口の母数を増やす為に「きつい」「汚い」「安い」といった介護職のイメージを「きついし汚いけれど、それに見合った以上の対価が得られる」というイメージに変えるという目標を置き、常に行動した。

取組の内容

◆介護未経験者への介護資格取得支援

  • 運送業や営業職、事務員や遊興施設のスタッフなど、多種多様な経歴を持つが全くの介護未経験な人材を採用し、100%会社負担で資格取得支援を行った。
  • 資格取得期間に生活に困ることが無いよう、かつ資格取得後に即戦力となれるよう、通学以外の日はパートタイム労働者として既存スタッフとの同行訪問を組み、収入の確保と現場での実践的な学びの場を提供した。

◆スタッフが永く安定して働ける会社作り

  • スタッフの誰もが「家族を持ち家庭を築くことが出来る」というイメージを持つことができる企業を目指すために、退職金制度を拡充し、スタッフの様々なライフステージの変化に寄り添えるよう工夫をした。
  • 介護職員の年収「平均+50万円」を目標として給与設定や事業経費の削減等に取組み、採算が取れるよう計画した。
  • FAXをPCから送信できるよう設定、クラウド型のサーバー内に書類等を保管し、安全に閲覧・編集を出来るようにしたりと、可能な限りのペーパーレス化を行った。
  • 利用者の記録や職員間のコミュニケーションもセキュリティの高いSNSや、クラウドサービスを活用し事務経費の削減を行った。
  • 補助金等に常にアンテナを張り、取得できる補助金は漏らさずに取得するように努めた。
  • 人件費を「削減」するのではなく「適正化」するために、直行直帰を基本とし、出退勤用のアプリを活用した。朝礼等もSNSのサービスを活用した。
    経費の削減に重点を置くのではなく、目標に対して達成すると賞与や基本給に反映される制度を作り、仕事に対する意識を変えていくことが大切だと考え取り組みを行った。
  • 男性スタッフの育児休業取得の推奨、誕生日祝い金、リフレッシュ休暇+リフレッシュ金の付与等、福利厚生の拡充を行った。
  • 新型コロナウイルス感染症の感染拡大を受け、スタッフの感染リスクを低減させる目的で、事務所への出勤をせずに利用者様のご自宅への訪問等が直行直帰で行えるよう、システムを導入し全てのスタッフにスマートフォンの貸与を行った。

取組の効果(改善点)

◆未経験で入職した介護職員(6名)の離職率は、訪問介護事業所の中で3年間0%である。
訪問介護事業所全体としても、離職率は5%~10%。そのおおよそ8割は、入職して2ヶ月以内の離職であり、長期でのキャリア形成が実施できている。また、平均年齢は36歳、うち20代が半数と若い世代の獲得も実現できた。

◆現在、介護事業所全体としてのスタッフの平均年収は、地域の平均年収に対し+約60万円ほどで推移している。男性の育児休業取得者も4名おり、リフレッシュ休暇や年次有給休暇の取得率も70%以上である。また、訪問介護事業では中々申請しにくいと言われていた残業申請も、1分単位の申請とし手当を支給している。

◆出退勤や残業申請等の勤怠管理、訪問記録をスマートフォン上のアプリから管理できるようになり、スタッフの感染リスクの低減につながっている。
勤怠管理や訪問記録を自宅や訪問先から速やかに行えることで、記録の漏れや間違いが低下した。
また出退勤、有給申請や残業申請もスマートフォンから出来るようになったため、以前は事務所へ帰って勤怠簿を提出していたが、自宅等から待機や空き時間に行えるようになった。
また、データとして全て集計できるため、残業時間の状況把握や見直し、売上と人員における労働時間の対比などもでき、自社の経営分析に役立っている。

上記の様な地道な取り組みが功を奏したのか、現在では求人を出していなくても応募がある状況である。

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