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50人以上 株式会社 北海道・東北

事例No.0507

取組の背景

慢性的な職員不足が続き職員の平均年齢も高くなっている。事業の継続を意識して、職員の事務負担を軽減して本来の仕事に集中できる環境を作りたい。更に職員が安心して働き、やりがい、魅力のある職場への改善を図り、職員の定着、若年層の職員採用を進めたいため、様々な職場改善に取り組もうとした。

【課題例】

(1)全職員の事務負担が大きい。

・サービス提供責任者は書類入力に追われ、本来の仕事が出来ていない等。

(2)提供サービスの統一ができていない。

  • 訪問介護事業が7拠点と多く、ケアの統一が難しい
  • 業務管理システムが未熟で、サービスの抜け、漏れがあり、利用者やその家族とのトラブルが発生している。

(3)離職が減らない。

毎年一定程度の離職が発生しており、その都度、他職員の一時的な負担増加や、拠点のチーム作りに影響し、その結果、収益にも影響が出ている。

取組の内容

(1)ICTを活用

  • 業務ソフトを自社開発しICTを導入することで、利用者との契約、訪問介護計画書作成から介護保険請求や職員給与計算に至るまでを一元管理できるようにして事務の効率化を図った。
  • 請求書作成の外注化とウェブ配信を開始し、請求書の作成、封入、発送作業を無くした。

(2)ケアや業務内容の統一や見直し

  • スマートフォンを職員に配布し、シフト管理、サービス実施報告等を行い、直行直帰ができるようにした。
    業務進捗情報を、本人・本部・拠点がリアルタイムで把握することができ、サービスの抜けの確認や、目標管理の設定、全体の業務の見直しを行った。計画書やモニタリング等、毎月の業務として必要な事項を網羅し、書式の統一と標準化を図り、書類作成、記録方法に関する研修会を定期的に開催した。
  • 労働生産性を高めるために毎月の数値目標を定め、利用者/人・単価/件・職員稼働率情報をICTにより共有するようにした。拠点別の実績進捗がリアルタイムで分かり、他拠点との比較をし易くした。
  • 作業手順や利用者への説明内容、訪問時に収集する情報等、必要事項をマニュアルに沿って整理し明確化した。
  • 各事業所のケアの統一を図るために、業務推進グループを設置し内部監査を実施している。
  • 事業所間のアンバランス解消のため、エリアで事業所を統括する運営管理グループを設置した。訪問効率の改善を目指しサービス提供のエリアの明確化、再設定をした。

(3)研修や処遇改善

  • 職員の定着率を高めるために、研修制度を充実させた(初任者研修、階層別研修、全体研修)。
  • 幼児のいる職員が働きやすいように、補助金制度を活用して企業内保育所(認可外)を開設した。
  • 職員の定着率向上のために、社内紹介制度・入社祝い金・資格取得祝い金制度を創設した。
  • 介護職員処遇改善加算や介護職員特定処遇改善加算を制度開始時に取得し、職員の処遇向上に努めている。
  • 入職してすぐに退職する例が見られたので、新人教育を充実させ不安感の払拭に努めた。

取組の効果(改善点)

(1)残業と人件費の削減

  • ICTシステムの再構築により、労務・シフト・移動・売上管理の一元化を実現した。事務作業時間の大幅な削減が図られ、システム導入後の所定外労働時間を前年比で70%削減できた。
  • 拠点での事務作業も大幅に削減され、一拠点に一人いた事務専任職員を配置せずに介護職員が事務を兼務することで、人件費を削減できた。

(2)トラブル件数の減少と労働生産性の向上

  • 全拠点でケアの基準を共有し、作業手順等のマニュアル化によりサービスの質にバラツキが無くなりケアの不統一が解消された。また、リアルタイムでの業務進捗管理システムによりヒューマンエラーによるサービスの抜け、漏れも無くなり(月1回→ほぼ無し)、トラブル全体の発生件数は90%削減できた。
  • 全社の収益状況を開示し他拠点の実績進捗も分かり、それが拠点間競争を生み、また、モチベーションにもなり目標に対して取り組む職員の責任感が増した。これにより、一人当たりの稼働率は5%伸びた。

(3)人材定着と確保

  • 所定外労働時間の削減、福利厚生の充実、処遇改善加算等による会社側の処遇改善の努力により、自己都合(配偶者の転勤、親の介護等)以外での離職は無くなった。登録ヘルパーも含め10年以上勤務者が40%を占めている。
  • 保育園開設後には、保育園があるという理由で入職を希望する人が出てきて若年層職員が5名入職した(前年2名)。

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