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50人以上 特定非営利活動法人(NPO) 関東

事例No.0490

取組の背景

法人として職員の定着率が思わしくなく、人手不足の環境下において人材の育成や定着への対応に課題があると感じていた。
過去には離職率が25%~30%前後で推移していたときもあり、職員不足という点で経営基盤が不安定であった。
そうした状況を抜本的に打開するため、自職場の課題を抽出し対応策と解決策への早急な取り組みが不可欠であると感じていた。

<課題>

  • 採用/教育が現場任せ
  • 人事評価制度/研修制度がうまく運用できていない
  • コミュニケーションが不十分(管理者と部下/職員間の情報共有)
  • 管理者層のマネジメント能力を高める(現場指導/評価)
  • 働き方改革(多様な人材の採用/多様な勤務)
  • 階層別研修(キャリアパスとの連動/メンター制度)

これらの課題解決のために各制度の導入や生かし方など、またどの様な研修内容や講師で対応していくのが良いのかで悩んでいた。
介護労働安定センターに相談し、支援を受けながら課題解決に向けた取り組みを進めることとなった。

取組の内容

『職員の働きやすい職場環境が、ご利用者様支援の質的向上につながる』との思いから

<改 革>

 職員の定着・離職率の改善に取り組むため、大胆に法人変革をしたく、全職員を対象にそれぞれが感じる問題点や改善意見を求めた。
 そうした中で、今までのマネジメントによるトップダウン型法人経営並びに運営を変えたいとの思いから、改革の意思とアイディアを持った人を理事メンバーへと大胆に入れ替えた。
 その中からの提案として、「職員採用/育成」に関して法人内事業所が個々に「募集/採用活動」をしてきたが、法人として各現場要望を受け横断的に必要人材&人数を把握し、法人内人材のマッチングを行なっていくという方法に変更した。
 また、新人職員の「育成/離職防止」の為に『介護プリセプター制度』を導入し、きめ細かいフォロー体制にしたことで、新人の安心並びに先輩自身も技術/知識を確認しながら成長でき、先輩としての自覚も芽生え定着に寄与している。
 その他、教育に関しての提案から、各職場でのOJT中心から法人としてのキャリアパスを背景に系統的な教育(新人・中途)へと見直しを図った。
 また、ホームページ内の求職サイト活用に関する提案をもとに、職員のコメント掲載も開始した。
提案を無駄にせず確実に具現化する事により、各職員のモチベーションアップ、定着・離職率改善に繋がっている。

【教育に関しての取り組み】

 リーダー職の力量不足(リーダー教育不足)や、一般職員間でのコミュニケーション不足による情報共有等に対する課題から、職務職責に分けた研修や法人全体としての研修など教育改革に取り組んできた。

<階層別研修>

◆トップマネジメント職に対して
 介護労働安定センターの「介護分野における人材確保のための雇用管理改善推進事業」に参加させて頂き、他事業所の取り組みなどから大いなる刺激を受けた。

◆リーダー職に対して
 雇用管理コンサルタント相談「介護施設のマネジメント」を中心に、リーダーとしての意識改革を促し各部署の取りまとめ/職員の動き/評価に対しての研修を実施した。

◆一般職員に対して
 ヘルスカウンセラー相談を中心とした外部講師を積極的に招き集団相談を実施したことにより、職員間でのコミュニケーションが良好になり互いを理解・尊重しあう土壌が整ってきた。また勤務時間内での開催とすることで参加率のアップを図った。

取組の効果(改善点)

◆教育訓練計画:研修制度の充実で職員の定着並びに、求人時に「安心して働ける職場」をアピール出来た。

◆新たな制度:介護プリセプターにより、新人の入職6ヶ月等短期間での離職者が無くなった。

◆階層別教育強化:リーダー層の意識改革で、職員への的確な指示/連携がスムーズになった。
 一般職員の研修参加率アップとコミュニケーション向上で意見の出やすい環境になった。

◆労務管理:職員確保並びに働き方改革、経費削減に貢献。

◆業務管理:階層別でのモチベーション変化が出てきた。

◆離職率の推移

  • 平成28年度:離職率31.3%
  • 平成29年度:離職率22.2%
  • 平成30年度:離職率10.0%
  • 令和元年度(12/末現在)の離職率:8.8%と平成28年度から令和元年の年度末迄で▲22.5%もの大幅な改善が出来ている。

今後は各種委員会を有効に活用し、教育体系の整備運営をしながら法人理念の浸透並びに職員の定着率を上げ、更なる職員のスキルアップを図り地域に貢献をしていく。

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