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20人以上50人未満 社会福祉法人 九州

事例No.0476

取組の背景

県の事業である経営管理改善支援事業に参加したことが、組織運営における課題を洗い出し、今後改善すべき問題を整理する機会となった。

その中で、組織の事業が拡大するのに応じて人員も増加しているが、それに対する人事制度は昔のままで整理されておらず、職員も混乱している状況にあり、再度、人事制度の構築に向けての取り組みが必要であると認識した。そこで、次年度からの人事制度の運用を目標に、今年度は現在の組織の体制について見直すことにした。

しかし、自事業所内ではどのように構築していけばよいか等、ノウハウや知識のあるものがおらず、取り組み方がわからないため、介護労働安定センターに相談し、雇用管理コンサルタント相談を活用することした。

取組の内容

雇用管理コンサルタントに組織の現状について説明し、打ち合わせにより、取組みについて6回に分けてスケジュールを立て、アドバイスをもらいながら、管理職6名を中心に進めていくことにした。

  1. 職位、職責図の作成
  2. 求められるスキル・能力の明確化
  3. 能力や質の向上を図るための評価基準の作成
  4. 人材育成、研修計画の作成
  5. 管理者研修
  6. 職員への周知

現状ある組織図と職位図が連動しておらず、どの仕事をしている人がどの職位に該当するかが不明確であることが混乱の一因である為、まず、組織図を基に職位・職責図を整理した。組織図は組織の形を示すものであることから、現在、担当職員がいない場合でも、その職位部分を明記することで、不足人材を確認した。

また、自法人には2つの大きな事業があり、2つの事業における職位・職責のバランスをどのように保つかを検討した。事業所別にそれぞれの事業における業務や作業内容を洗い出した。

自法人が社会に対してどのように貢献していくか考え、そのうえで組織運営の最適化を検討し、ベースの2事業に責任者を置き、さらにその下に具体的な7つの事業を配置し、そこにも責任者を置いて、未来の組織図、職位・職責図を作成した。

職位・職責図ができたので、職位ごとに必要な教育・育成を整理し、教育・研修制度の整備を行い、教育項目や研修項目を検討した。同時に、どれだけ成長したか、今後どのように育成していけばよいかなどを把握するために評価制度の構築も行った。

研修項目は、現在実施している研修やセミナーを新しい職位図に合わせて洗い出し、管理者やリーダー層の集まる会議で検討し、決定した。

評価項目は雇用管理コンサルタントに提供してもらった介護事業所向け評価一覧から、自事業所における評価担当者と最も重視する項目を5つずつ選択した。また、モデル項目以外にも自事業所の特徴や個性を活かすための項目を追加することがポイントであるとアドバイスを受けた。これも管理者・リーダーの会議で項目を検討し決定した。

これにより、どのような職位にどのような責任が生じ、また、どのような能力や知識が必要かが明確になり、職員に示すことで職員の意識と事業の生産性の向上を図る。

取組の効果(改善点)

町村の合併以来、ただ、漠然と日々の業務をこなしている状況であった。職員たちも人の役に立ちたいとの福祉の精神は持っていたが、組織として向かうべき方向がバラバラだった。

近年、市より、社会福祉協議会としての地域での役割を明確化し、生産性の向上を図るよう指導があったこともあるが、今回、組織の再構築の取り組みを管理職6名で進める中、管理職たちの意識に変化が生じた。個々の考えていた福祉の思いが、組織としてどのように地域に貢献していくべきか、それにはどのような組織であってどのような人材を育成していくことが必要か、共有化できてきた。

まずは組織をまとめていく管理者たちのこころが同じ方向を向いた。

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