雇用管理サポートシステム

事例No.461

○訪問介護の職員数(規模):20人未満 ○法人形態:有限会社 ○地区:北陸甲信越・東海

取組の背景

 現在、訪問介護、居宅介護支援事業、通所介護事業を行っている。一時総勢70人の組織となったが、一昨年中心的存在だった介護支援専門員が離職してからベテラン職員も相次いで離職し、利用者も減少傾向にある。

 昨年より給料の減額を実施している。ハローワーク、人材センターや民間求人情報誌等で登録ヘルパーの募集をするが応募がない。そのため新規利用者があっても対応ができず経営的に伸び悩んでいる。職員の減少とともに、その後の中間管理職の育成に手が回らず、残業が増加している。

 このような厳しい状況のなか、職員確保並びに定着率向上のため、キャリアパス制度の要件整備を柱に現状の介護職員処遇改善加算Ⅱから処遇改善新加算Ⅰの取得を目指したいと考え、介護労働安定センターの雇用管理コンサルタントの相談支援を受けることとした。これを良い機会と捉え、就業規則の見直し及び給料増額に向けての改善を進めていきたい。

取組の内容

 人事評価や給与規程等が相互に有機的連携が取れていないままに導入されてきた経緯があった。見直しを行い、制度の位置づけや人事制度全般の整備を実施した。具体的には、キャリアパス制度の整備に向けて、次の手順に合わせ各ステップを設定、現状を分析し再構築していくこととした。

・ステップ1:階層の見直し
・ステップ2:階層ごとの名称と定義づけ
・ステップ3:業務内容の洗い直し 
・ステップ4:求められる能力等の見直しの設定
・ステップ5:必須研修とのリンク
・ステップ6:ステップに見合った賃金の設定
・ステップ7:昇給条件の設定 
・ステップ8:キャリアパスの定着のための周知・説明 

 これにより、就業規則等関連諸規程集との整合性の検証、改正を図る。また、介護職員の質の向上と定着促進を図るため、キャリアパス基準書の各ステップ毎に、将来像の構想も含めて現状を鑑みながら細部にわたって検討した。特に地域密着、地域に必要とされる事業所及びそのための人材育成を主眼に「人材が集まる」をキーワードに組織体制の構築を目指した。

取組の効果(改善点)

 今回の機会を捉え、キャリアパス制度の見直しを図ることができた。更に制度定着に向けて、職員への周知、広報も実施してきた。制度に対する理解を深めることにより、職員のモチベーションの向上に繋がると期待している。

 キャリアパス制度は職員の採用や職場定着には必要不可欠である。事業所にとっては、経営理念に則った経営目標の実現のための人事制度の根幹をなすものものと認識している。この機会に人材確保や経営基盤の環境作りが図られたことは、意義のある成果である。